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 第402回上半期経済の総括と諸問題

(2009年11月30日)

2009年もあと1ヶ月。ここで、今年上半期の時点での経済状況を総括しておきましょう。
GDPの伸び率は第一四半期の6.1%が上半期全体では7.1%に上昇、これなら年間の“保八”(8%成長)も可能?2009年7月の一般的な受け止め方は「経済の下落に一応歯止めがかかり、回復の兆しはあるが、いまだ不安定で困難な時期にある」「急速な回復には2,3年が必要」というもの。“保増長・調結構・拡内需・重民生・促改革”という包括プランに基づく政府の積極的投資政策が奏功、税の軽減や下郷政策が就職難や農民の増収難による消費の低迷を補い一定の効果をあげていることが評価され、更に、都市化・工業化の成長期にあり、民間企業が優勢で、金融危機の影響を受けにくい国内向け経済構造の中西部地区が主要経済指標で東部地区を大きく上回ってる点が注目されました。
しかし、外国の景気回復に左右される輸出入では5月でも前年同期比20%以上落ち込み、その分を補う下郷政策も息切れを懸念する声があり、政府は同月、買い替え需要を加えることで都市部の需要も喚起する方針を打ち出し、家電では北京・上海など9つの経済発達地区でテストを始めました。一方、農村部では、産業発展に欠かせない金融体制の整備が進められており、新型農村金融機構は31省区で始まり、既に118社が設立されました。
7月当時には、今後の対策として、低迷する民間投資を喚起すべく公共サービス領域の門戸を開放すること、経済発展への貢献度が高い非公有制企業に対する環境を整備すること、消費の低迷と過剰な生産能力のアンバランスの是正、中小企業への資金援助の強化、社会保障を充実させて貯蓄を消費に振り向けることなどが挙げられました。国有大企業についても、引き続き積極的に再編を進めて(2008年末142社→2009年8月136社)国際競争力を強化する方針が打ち出され、2008年末の4兆元緊急経済対策のおりに3700億元が振り向けられた経済の構造調整と技術革新ではさらなるてこ入れが模索されています。
中長期的な目標としては、投資率の高さ(2009年上半期の経済成長に対する貢献度87.6%)に対して消費率が低すぎる点(同53.4%)の是正、先進国の60〜70%に比べ、2007年で40.1%にとどまっている第3次産業育成の必要性も強調されています。輸出についても自主ブランドを増やすことで付加価値を増すことが進むべき方向として指摘されています。

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