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 第405回環境評価法施行5年の検証

(2009年12月21日)

環境政策について、2008年6月に続き、今回は2008年下半期についてまとめ、2009年の動きについては年明け後にまた取り上げたいと思います。
2003年9月に環境評価法が施行され5年を経て、2008年、その効果を検証するため、6月から7月にかけ執行状況調査チームが各地に派遣され、その結果が10月27日の全人代常務委員会で報告されました。その中では、377件 の “両高一資”(高エネルギー消費・高排出・資源性)プロジェクトに対する不認可や認可先送り、三峡・西気東輸・西電東送・南水北調・青蔵鉄道といった巨大プロジェクトを含めた5年間計117万件のプロジェクトに対する環境評価の実施、同期間にCOD排出量を1406万トン・二酸化硫黄排出量を2510万トン減少させたことが列挙されました。その一方で同報告では、認可だけに関心が集中し、前後の手続きや対応措置などがおろそかにされる風潮を厳しく指摘しています。環境保護部が認可したプロジェクト中10%以上が認可を待たず操業を開始、20%以上が環境アセスメントで指摘された点を放置したままになっているとのこと。地方でこの傾向が一層甚だしいのは、経済的損失による地元経済への影響を恐れてのことですが、同法に違反した内容の地方法規の存在(2007年の調査で51本)も指摘されています(人民日報2008.10.28)。
2007年11月に設立された貴州省貴陽市の環境保護法廷。10ヵ月後、その後の動きが久しぶりに紹介されました(人民日報2008.9.18)。設立後10ヶ月で90件近くの環境保護関連の訴えが受理されたそうですが、問題はその35%が森林の破壊などに関わる案件で、水の汚染に関するものはわずか5%、水汚染防止が設立の主な理由だったことを考えると、確かに釣り合いが取れません。行政部門にとっては、管轄内の汚染企業を訴えれば、行政側の怠慢を自ら暴露するようなものですし、記事には記載されていませんが、住民にすれば、政府と汚染企業の癒着から、訴えても効果は薄いし、どんな報復を受けるかもしれません。
1997年に新刑法が環境汚染罪を規定して以後2008年までの環境汚染刑事案件がわずか数十件というのもあきれた話。2008年12月、湖南省で農薬生産企業の田畑汚染事故に対し平安保険が環境汚染責任保険に基づき120軒の農家に総額1.1万元の保険金を支払い、これが全国初の事例として報道されたことは実情がまだまだだと言うことを如実に物語っています。

三瀦先生のコラム