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第407回不動産バブルにどう対処?−その1−
(2010年1月18日)
毎月発表される全国70都市の不動産価格指数。2009年12月は2008年同期比で7.8%の上昇を記録、不動産バブルの勢いは半年の間益々勢いを強めています。2009年、年間8%の成長確保の目的をほぼ達成し、自動車の生産台数も年間で1300万台を突破して世界一になり、GDPも2010年には日本を追い抜こうという予測がもっぱらの中国経済ですが、いつ、どういうタイミングでこの情況を抑制し、ソフトランディングできるか、一つ間違えば、地方政府の経済破綻、さらには銀行の不良債権急増による金融不安、株式市場の暴落にもつながりかねないだけに、今年上半期の経済政策の舵取りには細心の注意が求められます。
2007年から行われた不動産業界に対する引き締め政策は、世界的な不況の下、2008年夏以降一転して政策を転換せざるを得なくなり、金利の引き下げや、不動産取得とそれに伴なうローンの利用に関する様々な条件の緩和が行われました。1年前の2009年1月はそれらの政策転換がまだ目に見える効果を挙げるに至らず、不動産市場も低迷が続いていました。それが半年後には既にバブルの様相を顕著に呈し始め、その流れが年末まで続いているのです。2009年前半に中国不動産市場どういう経緯をたどリバブルに転じていったのかは、今後の中国不動産市場を考える上で大変参考になりますので、2回に渡ってそのプロセスを月毎に追い、そこに垣間見られる問題を検証してみます。
世界的経済危機に対応するため、政府は2008年末に4兆元の緊急経済対策を打ち出すとともに、政府金融機関に対して積極的な貸付を示唆し、膨大な資金を放出しました。その効果が現れ始めたのが2009年3月からで、同月の全国70都市の不動産価格指数は前年同期比1.3%減でしたが、前月比では0.2%の上昇を示しました。ただし、この時点では地域格差がはっきりしていて、前年比で上昇した都市は、銀川7.3%、錦州5.0%、蘭州と西寧が4.6%といった具合で、地方都市、それも西部地区が多く、一方、先進地域の深圳は12.2%減、広州8.9%減、石家庄7.2%減と際立った対照を見せました。第1四半期全体としては回復傾向が見えたものの、2008年末の建売住宅の売れ残り1億6400万平方メートルに加え同四半期で1億平方メートルが完工、この間1億1300万平方メートルを販売したものの、在庫圧力は依然として強く、景気の脆弱感は否めませんでした。