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第411回証券市場の話題
(2010年2月15日)
2009年2月、上海総合指数がリーマンショック前の水準である2079を上回り、すばやい回復基調を見せた中国証券市場。政府の積極的な経済・財政政策の後押しで3月末には、米英日などがいずれも前年同期比でマイナスだったのに対し、上海総合指数は30%以上の伸びを示し、その後も続伸して7月末には3500に迫りました。8月末に明らかになった上海・深圳両株式市場上場企業1300社余りの2009年上半期業績報告を見ても、全体として回復基調が明らかで、世界の市場を中国が牽引する状況を現出し始めました。第1四半期に比べ、第2四半期の純利益が33.29%増であったことは、回復が急ピッチで進んだことを如実に示しています。
その後、株価は8、9月に急落しましたが、10月以降持ち直し、堅調に推移しました。ただ、年が明けると、不動産業界に対するバブル懸念と政府がいよいよ引き締めのために金利の引き上げに入るなどの要素が絡み、下落傾向を見せ始めました。といってもインフレ傾向は年平均予測で4%前後と懸念されるほどではなさそう、ということで、不動産市場などから財政資金を調達していた地方政府の資金繰りがショートして銀行の不良債権を増やすことがないように政策的裏づけがしっかりできれば、大きな混乱は起きないと思われます。その意味で、今後、地方の公共投資をより一層民間に開放する傾向が顕著になるでしょう。
2010年の動向を左右するのは、4兆元の緊急経済対策効果がどこまで息切れせずに続くか、と、リーマンショックで先延ばしになった産業構造の是正、即ち、高度なものづくりとサービス分野への構造転換がスムーズに進むかにかかっています。其の点では中国には幾つかのプラス材料があります。交通・電力・通信など様々なインフラがほぼ農村に行き渡ったことによる力強い内需拡大、特に各地の先進地域における、多数の都市を包含した広域1時間交通圏の形成による単一都市効果、3時間経済圏の形成による産業集積が可能な地域経済圏の確立、工業発展により高度成長の入り口にさしかかった成都・重慶・西安などを中心とした西部地区の存在、2006年以降続々と発見されている様々な地下資源、経済危機をバネに精力的に進められている主要産業の再編、そして、2003年以来、其の動きが顕著な自前による国際基準の創出は、いずれもが長期的に見て中国の次なる発展の起爆剤になりえます。