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 第413回考古学この1年

(2010年3月1日)

最近、魏の曹操の墓とおぼしき発見が話題になりましたが、この1年、南水北調工事による緊急調査なども手伝って、依然としてビッグニュースが続いています。
以下は周武王作の詩。
楽楽旨酒 宴以二公,任仁兄弟 庶民和同,方壮方武 穆穆克邦,嘉爵速飲 後爵乃従
2008年7月に精華大学の卒業生が大学に紀元前305年前後と推定される竹簡2388枚を寄贈し、2009年4月、その3分の一の初期調査結果が公表されました。
『保訓』と命名された11本の竹簡には周の文王が臨終に際し武王に与えた遺言が記載され、そこにはこれまで知られていなかった、堯・瞬・禹から殷にいたる伝説があり、儒学の思想に連なる“中”の思想が説かれていた、とのこと。また、上述の周武王作を含む14本の楽詩の竹簡が発見され、『詩経』との関連も見つかりました。『楽経』は秦の始皇帝による焚書坑儒で途絶えていたため、まさに大発見と言えましょう。
この中にはやはり焚書坑儒で多くが失われた『尚書』が多数含まれていました。現在伝わっているものとかなり違いがあり、未発見のものも少なくありません。
安徽省蚌埠市の双墩村で発見された墓は、円形の墓穴、埴輪の存在などこれまでに無い特異な埋葬形態が注目の的になりましたが、調査の結果、青銅器の表面に刻まれた文字から、約2600年余り前の春秋時代鍾離国の君主の墓である事が判明しました。鍾離国は太陽をトーテムとする部族で、後に楚に滅ぼされ、書物上にはわずかな記載しかありません。
化石関係でも様々なニュースが入ってきました。現代の人類の祖先は、およそ20万年前にアフリカから発し、6万年ほど前に東アジアに到達した、というのが最近の定説でした。しかし、2008年8月に広西チワン族自治区崇左市で発見された11万年前の人類の下顎骨が、その後の専門家の研究で、明らかに古人類とは異なり、現代人につながる特徴を有している事が判明、現代人の起源はアフリカだけか、と疑問を投げかけました。
このほか、恐竜の化石が大量に発見されるので有名な山東省の諸城では、またも全長500メートル、深さ26メートルの新化石回廊が発見され、体長21メートルという超巨大な恐竜の復元もほぼ完成しています。

三瀦先生のコラム