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第416回中国社会の病根「誘拐」
(2010年3月23日)
2009年11月12日、広西チワン族自治区の馬山県で、先日福建省で誘拐先から救出された2名の児童が肉親と面会し、メディアでも大きく報じられました。同じ日、貴州省貴陽市でも7名の救出児童が肉親と再会を果たしました。
中国では誘拐事件が絶えません。2009年4月9日、全国公安機関は年末までの児童・婦女誘拐特別取り締まりを発動、5月4日までに、児童の誘拐184件、婦女の誘拐122件を摘発、72の誘拐団を取り締まり、児童196人、婦女214人を救出しました。
最近の特徴として、公安部の刑事捜査局長は、①グループ化と犯罪ネットワークの複雑化、犯罪手段の多様化、広域化が進んでいること ②児童、特に出稼ぎ労働者の児童を狙った事件の増加 ③誘拐後、物乞い・盗み・引ったくり・売春といった犯罪を強要する悪質なケースが増加 ④省境・国境を超えた誘拐 ⑤女性に売春を強要するケースの増加 の5つを挙げています(人民日報2009.5.20)。
実際、山西省では、2008年から2009年年初めにかけて、子供がさらわれてミャンマーへ送られる、といった類の事件が19件も起きて、2009年1月末にやっと救出された、といった事件も起きています。
上述の記事では、誘拐犯罪の識別方法として、①抱えている子供が長い間こん睡状態 ②子供の障害が人為的に施されたものらしい ③子供が冷たい地面にじかに晒されている ④膿んだような傷があっても手当てがされていない ⑤子供の手足が鎖などで拘束されている ⑥子供が地面に座っているだけで大人がいない、あるいは遠くから監視している ⑦大人のこじきは身なりがこざっぱりで、子供は全身が汚い ⑧一人の大人が何人も子供を連れている の8点を挙げています。強い睡眠薬を飲まされている子供は泣きもせず、食事も排便もせず、意識がありません。乞食は健康ではダメ、と同情を得るため子供を障害者にしてしまうのは誘拐犯の間では常套手段になっています。なんとも悲惨な話です。
河北省邢台の愛心協会は子供探しトランプを1000セット配って協力を呼びかけ、都市の社区などでは、共稼ぎ家庭の子供を守るため、放課後4時以降は地域のお年寄りを中心に子供の面倒を一時見る4時学校も開かれています。