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第417回社区の最近の動向
(2010年3月29日)
WTO加盟に向けた朱鎔基による1998年からの大改革は中国社会の住人にそれまでの“単位人”から“社区人”への転換を決定的に迫りました。2003年の胡温体制以後、社区建設の取り組みが本格化した状況は、本コラムでも2004年に詳細に紹介しました。あれから5年が経過し、社区はどんな進展を遂げているのでしょうか。社区発展の経過で起こった課題は、本格的な住民自治への期待と、安定の確保を重要課題とし、党の指導的地位の確保を最優先する国側との軋轢でした。その後、社区への党組織の浸透は着実に展開され、例えば、四川省では、2009年には全省5581箇所の社区全てに党支部が設立されました。
党の優位性を確立する一方で、社区が住民サービスの面で果たす機能も益々重視され、積極的かつ具体的な取り組みが目に付くようになりました。北京市朝陽区・海淀区の600の社区では、2009年、新たに無料“社区服務站”が設けられました。その任務は100項目にも上り、まさに「何でもやる課」の中国版です。住民の自主的な取り組みも多彩になってきています。北京市崇文区の金魚池社区では、毎年4月18日を社区祭りの日に定め、河北省の廊坊市広陽区でも、2009年7月に第一回隣人祭りが行われました。
住民の便利も格段に考慮されるようになりました。2007年11月には「15分診療圏」、即ち、どこからでも15分で診療が受けられる河北省邯鄲市叢台区の制度が紹介されました。人民日報では2008年1月にも北京市西城区の「歩いて15分」の記事が、4月19日には江西省南昌市の「15分社区衛生サービス圏」の記事が登場、健康体育面でも15分社区健康サービス圏が、2009年8月には湖南省長沙市の社区15分文化圏が話題になっています。いずれも住民が社区の中で十分な文化的サービスが受けられるようにしようというものです。
医療衛生面では、2006年に上海市で、33万人の住民に対し156の社区衛生センターが家庭健康記録を作成して総合的な健康管理を実施、2007年12月には、政府が「5年以内に全国全ての社区衛生従事者を再訓練し、2010年に『住民5000人に一人の総合治療医』という国際的な最低基準をクリアする、という目標を立てました。
社区に関する最近の話題は、農村における社区の建設でしょう。2009年8月時点で既に1億人の農民が社区に加わっており、民生部は既に全国を網羅する目標を明確にしています。