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 第421回国有企業の行方

(2010年5月10日)

世界同時経済危機に見舞われた2009年、危機に対する安全弁として“央企”と呼ばれる国有中央企業の果たす役割が大きくクローズアップされました。中国政府は、公有経済と市場経済が共存する現行体制に対する批判に反論、「今回の危機の中で、公有経済がリスク回避に大きな役割を果たした」と喧伝しています。
 2009年6月、“央企”の利潤が751億9000万元と前月比29.5%増となり、10月には、1月〜10月の営業収入が全年同期比0.5%増と、1月以来の総計比較で初めて前年を上回りました。その回復基調はまさに中国経済の回復と歩調を一にしています。その一方で、国有企業の抱える諸問題や今後のあるべき姿、方向性についての模索も活発に行われました。「“央企”の発展は“国進民退”ではないか」という批判に対しては、第二回全国経済センサスの数字を踏まえ、「企業数や資本構造から見ても、民営経済の比重が増している」と反論しつつ、「“国進民退”の議論自体は有意義であり、特定業界の独占問題を解決し、戦略的調整を進め、より一層民間企業の発展を図らねばならない」と方向付けています。
 “央企”は、2003年、国有資産監督管理委員会(国資委)成立当初は196社ありましたが、再編統合により、2010年中には80〜100社に減らす方針が発表されています。こういった過程で、政府は今回の危機を“央企”の抜本的改革の好機と捉えています。2009年5月1日から<企業国有資産法>が施行され、その後、<地方国有資産監督管理業務を一層強化することに関する意見>も出されて、杜撰な国有資産管理にメスが入りました。また、“央企”経営幹部の法外な高給にも厳しい批判の目が向けられ、4月には財政部が「国有金融企業の高級幹部の2008年度の報酬が2007年度のそれの90%を上回ってはならない」という通知を発し、更に7月には<国有企業経営者清廉就業規定>が、12月には<中央企業経営者管理暫定規定>も出されました。
企業統治に関する改革も急ピッチで、“董事会”の設置や株式制度改革も本格化しています。また、急増する法律上のトラブルに対処するため、2011年までに全ての“央企”に総法律顧問制度を確立する動きもあります。今後は、国有企業の独立性が高まる中、安全管理や公益性の維持、統合再編に関わるリストラ人員への対処などが課題となるでしょう。

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