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 第422回循環経済への取り組み

(2010年5月17日)

2009年1月1日から<循環経済促進法>が施行されました。その中では、企業は進んだ回収技術や設備を採用して、生産過程で生じる余熱や余圧を総合的に利用するよう規定され、なおかつ、様々な循環利用によって生産された電力の送電ネットを使った配給を電力ネット企業に義務付け、受け取りを拒んだ電力ネット企業には厳しい罰則規定も設けています。2009年前半は、経済危機のために具体的な取り組みがやや遅れた感がありましたが、回復軌道に乗り始めた6、7月頃から様々な関連ニュースが入ってくるようになりました。年末には北京で<再生資源産業技術革新戦略連盟>も成立、エネルギーの節約や環境保護の技術開発を進めると共に、その産業化にも取り組み、3〜5年後には再生資源の利用効率10%以上、2015年には1兆5000億元の生産額を見込み、2020年には再生資源産業技術革新の中核的なシステムの確立を目指しています。
資源の再生には資源の効果的な回収が欠かせません。1年間の生活ゴミの量が1日平均1万8531トン(2008年)に達する上海では、4種類分けを基本として1000箇所以上の住宅地でゴミの分別収集を試みました。また、「緑色通帳」による点数積み立て制度で、再生ノートなどとの商品引き換え制度も始まっています。北京でも2009年4月に<生活ゴミ処理対策全面推進に関する意見>が出され、きめ細かな指導が始まりました。計画では、2012年には1日の処理能力を3万トンに近づけ、埋め立てゼロを達成します。
再利用の動きは各方面に広がっています。華北地区では年間15万トンもの電子廃棄物のわずか1割しか再利用されていません。天津では6箇所の国家循環経済モデル地区を設け、北京では年処理能力30〜35万台に達する廃棄家電処理企業も出現しているとはいうものの、家電の買い替え需要を刺激する政策の一方で、回収価格の設定などに不満があり、採算が合わないため回収がスムーズに行かない、といった問題も指摘されています。
ワラや草を使った発電、キノコの栽培、暖房燃料作りも始まっています。オリンピックのヨット競技会場に藻が大発生した青島では、その藻を肥料に変える試みが始まっています。毎年6000万トンも発生する食品廃棄物も、有効利用すると1000万ムーの耕地に相当すると試算され、再利用への取り組みが始まっています。

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