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 第430回主要産業再編の動き−その1:航空業界

(2010年7月12日)

2008年度の世界航空産業の赤字額は500億元余り、ところが中国では、三大航空会社(東方航空・中国航空・南方航空)の赤字だけで300億元を超えて航空業界再編が促され、2009年7月、東方航空が上海航空の吸収合併を発表しました。双方で165億元の赤字、公的支援も受けている状況では、合併もやむを得ません。これによって同社は上海航空市場で圧倒的なシェアを獲得しました。一方、民営航空会社では、同年8月に東星航空が負債総額10億元強で、航空会社としては中国初の破産宣告を武漢市中級人民裁判所から受けました。 
2009年後半に入ると、中国の民用航空市場は停滞する世界を尻目に急速な回復を見せ、貨物取扱量はもとより、旅客数も前年比19.7%増の延べ2億3000万人(世界第2位)に達し、122億元の黒字となりました。こういった情況の下、地方の目覚しい経済発展を背景に、ハブとなる拠点都市に本拠を置く航空会社の設立が新しい動きになっています。それはまた、既存の3大会社という枠組みに対する挑戦でもあります。
2009年6月8日、海航集団は海南航空株式会社・天津港保税区と共同出資で天津航空を設立しました。天津浜海国際空港に本拠を置く同社の誕生で、天津は自前の航空会社を持つ事になり、2012年には100機以上の機体を保有、天津を中心とした渤海湾1時間交通圏の構築を目指します。既に海口・西安など全国に7つの基地を持つ同グループは、2010年2月にも北京市と戦略的協力枠組み協定に調印して首都航空会社を設立、これを土台に、観光事業・ホテル経営など総合的な共同事業を展開する構想も進んでいます。
川航集団も活発な動きを見せています。国内初の民営航空会社鷹聨航空は同社を含む国有企業3社の出資を受けて成都航空になり、西部地区航空網の中枢を担い、更には東南アジア・西南アジアをも見据えています。また、2010年6月、同集団は東北航空も傘下に収め、河北省の協力の下、石家庄を拠点とした河北航空を設立、北方市場に橋頭堡を築き、同社の全国国内市場制覇の野望を達成する足がかりにしようとしています。
全土に166の空港を持ち、年間の利用者が1000万人以上の巨大空港を14も抱え、10年後には旅客数が延べ7億人になるとも言われるる中国。航空業界の熾烈な戦いはこれからが本番です。

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