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第433回主要産業再編−その他の産業分野
(2010年8月2日)
世界中が2008年秋のリーマンショックに慄いていた2009年初頭以降、国務院は矢継ぎ早に、10大産業調整振興計画を承認しました。1月14日には、自動車産業と鉄鋼産業、2月4日には紡績産業と設備製造産業、同11日には船舶産業、18日には電子情報産業、19日には軽工業と石油化学産業、25日には有色金属産業と物流業といった具合です。
このうち、自動車産業と鉄鋼業については、2009年7月〜8月に本コラムでも紹介した動きが下半期も続きました。例えば自動車業界では、国有中央企業間では過去最大規模の自主再編が実現しました。2009年11月に中国兵器装備グループと中国工業航空グループが長安自動車の再編で合意、中国工業航空グループが、所有する“昌河汽車”“洽飛汽車”など数社の株を中国兵器装備グループ傘下の長安自動車に譲渡、見返りとして長安自動車株の23%を取得しました。これにより長安自動車の年産能力は220万台に達しました。
2009年、中国自動車業界は年間生産量世界一になり、業界再編で上位10社が1189万3300台、全体の87%を占め、乗用車の割合も76%を占めましたが、その乗用車の51.5%、532万台は外資系の多国籍企業によるもの。中国の自主ブランド車は780万台売れたものの、利益率が3%にも満たない小型車などが400万台近くに上り、高級車でのシェアは2%にも達していません。高級車の輸入は50%も増えたのに、乗用車の輸出は前年同期比で57%も下降しています。国内企業再編が単なる始まりであり、次に必要な課題も一目瞭然です。
事情は鉄鋼業界も同様。2009年10月には、遼寧省の民間企業方大グループが江西省の国有企業南昌鉄鋼を傘下に収め、話題になりました。国内生産能力は7億トンに達する勢いなのに国内需要は5億トン前後と、再編の強化は必須課題で、政府は同年12月に<現有鉄鋼産業生産経営許可条件及び管理規則>案を公示、製品の質、環境保護、エネルギーの節約と資源の総合利用、技術と装備、生産の規模・安全・衛生、社会的責任の6項目に渡り厳格な基準を提示し、各省での中小製鉄企業の淘汰、統合を強力に推進しています。
2010年旧正月前、国務院は電力・石炭・鉄鋼・セメント・製紙など多くの産業分野の劣悪な生産設備を今後2年かけて淘汰する方針を示しました。各産業分野の整理統合を成功させ、世界に通用する企業を育成できるかは第12次5カ年計画の需要テーマと言えましょう。