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第437回新エネルギーへの取り組み
(2010年9月6日)
風力発電の現状を紹介する前に、まず、新エネルギーへの取り組みを見てみましょう。
中国では21世紀に入ってから、新エネルギーに関する重要科学研究プロジェクトが続々とスタートし、一定の成果を上げてきました。北京オリンピックや上海万博でその一端がベールを脱いだことは記憶に新しいと思います。新エネルギーとは主に風力・太陽熱・バイオ・原子力などを指し、また、石炭利用のクリーン技術や新型自動車の燃料など従来型のエネルギーに対する技術革新によって得られる新しいエネルギー源をも含んだ言葉です。
2006年1月の<再生可能エネルギー法>実施とともに、政府は経済の構造改革に関わる重要な柱として<国家中長期科学技術発展プラン綱要(2006−2020)>を発表、これに基づき、以下に示すように、各省庁合同による複数のプロジェクトがスタートしました。
○<十城千両>プロジェクト:10余りの都市の公共交通にハイブリッド車・純電動車・電池自動車などを一定規模導入し、2012年6万台を目標にする。
○<十城万盞>プロジェクト:21の都市で次世代半導体照明を公共施設の照明に導入、2015年には一般照明市場の30%に拡げ、年間1400億キロワット時の電力を節約。
○<金太陽>プロジェクト:2015年までに250万キロワット時の太陽光発電設備を新たに設置、年産200億元、新規雇用9万人を達成。
また、原子力関係では独自に<原子力発電中長期発展プラン>が公表され、更に、エネルギー産業振興計画の立案も進んでいます。
中国では発電量の80%以上が火力発電で、一次エネルギーの69%を石炭に頼っており、公害の主因ともなっています。これに対し、よりクリーンな天然ガスは一次エネルギーに占める割合がわずか3%、2010年には200億立方メートルの供給不足が伝えられています。その結果、「中国は“富煤、少油、貧気”国家である」という制約の下、バイオガスや石炭合成ガスへの取り組みを活発化させることが至上命題となっているのです。
2009年6月、『中国エネルギー報』(週刊)が発刊され、同年12月には<改正『再生可能エネルギー法』>が承認され、2010年1月には、温家宝首相を主任とする<国家エネルギー委員会が設置されました。政府のこの問題に対する意気込みがひしひしと伝わってきます。