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第443回農村金融ネットワークの発展−その1−
(2010年10月25日)
2007年6月25日付の当コラム<農村の金融システム整備>で、2006年から本格的に始まった農村金融ネットワーク整備の動きについて紹介しました。2008年のリーマンショックは中国経済にも大きな衝撃を与え、農村経済の活性化に大きな期待が寄せられましたが、そのためには金融サービス網の整備と内容の充実が不可欠になります。こういった情況の下、これまでどんな動きがあったのかを振り返って見ましょう。
2006年末に銀行監督管理委員会は各種資本による村鎮銀行の設立を奨励しましたが、2007年末時点ではまだ中国全土約6万箇所の郷鎮のうち2686箇所に金融機構が全くなく、8901箇所がたった1箇所のみといった状態でした。上記の奨励がきっかけとなり、一部の国内銀行、更には外資系銀行も徐々に農村進出に意欲を見せ始めました。2007年12月に香港系の匯豊銀行が湖北省随州に開設したのを皮切りに、イギリス系のスタンダードチャーダード(渣打)銀行も内モンゴル自治区に開設、2008年12月には、アメリカ系のシティ(花旗)銀行が中国初の外資系銀行によるローン会社を湖北省の荊州にオープンさせ、その後も数を増やしています。とはいえ、これらの動きはまだ「はしり」に過ぎず、リーマンショックに遭遇したことで政府が一層この問題に必死に取り組んだのも当然と言えましょう。
2008年10月の17期3中全会では農村金融体制の革新と農村金融参入政策の緩和と、商業性金融・合作制金融・政策性金融が結合した農村金融体系を速やかに打ち立てる事が提唱されました。一方では国家発展戦略に関わる農村インフラの整備や大規模農業プロジェクトをサポートしつつ、その一方で中小企業、個人による起業、農業の産業化を支援するきめ細かな金融支援ネットワークの立ち上げが必要とされたのです。農村金融参入政策の緩和では、農村の小型金融組織が金融機関から資金融資を受ける事が許可され、農村特有のニーズに沿った様々な民間小規模金融サービスも解禁になりました。
2008年末、全国の新型農村金融機構(主に金融サービスに従事する各種資本による村鎮銀行、農民や現地小企業が発起した自主管理による“社区”性信用合作組織、商業銀行や農村合作銀行によるローン専門の全額出資子会社)はそれぞれ、89社、10社、6社の計105社に達し、そのうち77社は中西部地区に設立されました。その後の動きはまた次回に。