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第444回農村金融ネットワークの発展−その2−
(2010年11月1日)
2008年末現在で、全国の農村個人経営商工業者は1058万6600戸、私営企業は202万3600社、農民合作社は11万900社を数えました。2009年は、これらの経営、特に零細な「草の根経済」をサポートし、更には起業を奨励すべく、引き続き様々な試みが実行されました。草の根経済の特徴は、融資額が少なく期間は短く、財務情報や担保物件が乏しく、そのくせ多くが差し迫った資金繰りに直面していることです。
2009年6月、銀行監督管理委員会は<小額ローン会社の村鎮銀行化暫定規定>を発布し、2008年5月の<小額ローン会社への実験的取り組みに関する指導意見>以来600社近くまで増加していた小額ローン会社に条件付で農村銀行への道を切り開き、同月末、村鎮銀行は初めて100行に達しました。同年7月には<新型農村金融機構2009年−2011年全体作業ガイドライン>が公布され、この期間に村鎮銀行1027行、ローン会社106社、農村資金互助社161社を設立する目標が掲げられました。なかでも農民専業合作社には農村資金互助社設立への試みが奨励されています。中国の農村では毎年1億2000万人の農民におよそ1兆元の資金が必要とされていますが、目下その充足率は50%〜60%に止まっているのです。
大手銀行の動きも活発化しています。中国農業銀行や郵政備蓄銀行は農村部への回帰を始めました。2010年3月、中国農業銀行は<2009年“三農”金融支援報告>を発表、その中で、農業関係ローンの貸出残高が1兆2000億元に達した事を明らかにする一方、<“三農”業務中長期発展プラン>を作成、農家への貸付を1年間で倍増させ、“三農”(農村・農業・農民支援)への総貸付額は3年以内に倍増させて5年以内に2兆元以上とする目標を掲げました。国家開発銀行も内蒙古・四川・甘粛など7地方に村鎮銀行を設立しています。
2009年末、農業支援の主力、全国の農村小中金融機関の資産額と負債額が共に8兆元を突破、全体では716億元の黒字になりましたが、金融リスクも増大しています。その点、大型商業銀行によって設立された村鎮銀行は様々なノウハウを親銀行から吸収できるメリットがあります。ただ、銀聨(中国ユニオンベイ)に加入できないため銀聨カードが使えず、支店まで行かなくてはならない不便や、営業税・所得税などの徴収で農村信用社のような税収上の優遇措置が得られないなど、解決すべき問題も少なくなく、設立ペースは尚緩慢です。