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 第四十五回  京劇音配像

 若者の京劇離れに対処するため、近年、京劇の“話劇”(現代劇)化も模索されていますが、200年以上続くこの伝統文化を守り、保存し、その精華を伝えようという試みも行われています。
  17年前の1985年、現全国政治協商会議主席李瑞環氏は“中国京劇音配像精粋文化工程”(京劇の優れた作品の録音に映像を加えるプロジェクト)を提起し、更に、1990年に北京で開催された「徽劇北京公演200年記念、京劇振興検討会」(注:京劇は、清朝乾隆帝80歳を祝って1790年に北京で公演された安徽省の徽劇が源流になっている)で、現存している過去の名優の録音やレコ—ドに現代の俳優の演技を配した視聴覚教材を作成するよう提案、1994年に、同プロジェクトが正式にスタ−トしました。
  1940年代〜文化大革命前までの20年余りの時期は、梅蘭芳、周信芳といった大御所に李少春、張君秋、裘盛戎といった充実期の名優が加わり、大変な活況を呈しました。王水運氏によれば、1956年夏に北京で上演された<四郎探母>、1959年夏に天津で初演された<趙氏孤児>は大変素晴らしいものだった、とのこと(人民日報、6/25)。
  この間の名優40名近くが主演した342本(張君秋の38本を筆頭に、馬連良35本、裘盛戎、譚富英各31本、葉盛蘭21本、周信芳19本、程硯秋16本、梅蘭芳15本、荀慧生13本、尚小雲12本、李少春8本など)の録音が既に収集整理され、それらに映像を配する仕事が今年7月、ようやく完成を見ました。彼らの後継者を中心に、当代の熟練、気鋭の俳優が、国内はもとより台湾からも参加し、存命の名優たちの指導を受けながら、往時の演技の再現に取り組んだのです。
  中心となる特別な部局もなく、自前の劇場も無い中、手弁当で行われた活動には、20あまりの部門から、延べ1万5千人が参加、異色の文化事業として、国内国外で大変な反響を呼びました。
 京劇ファン、若手俳優、京劇研究者、誰にとっても有意義なこの事業は、他の分野へも広がりを見せようとしていますが、これを1つの出発点に、中国の伝統芸能が再発展するよう期待したいものです。

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