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 第451回香港とマカオの変化−その2:マカオ

(2011年1月17日)

2009年12月20日、マカオで胡錦濤国家主席出席の下、マカオ祖国復帰10周年を祝う式典が盛大に挙行されました。マカオは1999年12月20日に祖国復帰を果たし、2003年以降、内地の多くの都市がマカオへの観光を解禁、同年10月には内地とマカオの間でCEPAが調印されて経済関係の緊密化に拍車がかかり、2005年にはマカオの歴史的な町並みがユネスコの世界遺産に登録される、というニュースも飛び込みました。その一方で、マカオに対する政治的攻勢も着実に進み、2009年2月、マカオ立法会は『中華人民共和国マカオ特別行政区基本法』第23条に定められた『国家安全保護法』を可決、国家に対する謀反・分裂活動など7つの国家の安全を脅かす行為と処罰内容が規定されました。中央の意向に沿ったこの成果は香港とは対照的で、中央政府は今後、マカオを積極的にバックアップしてその成果を強調し、香港や台湾への政治的キャンペーンに利用していく事でしょう
『国家安全保護法』可決の成果はすぐ現れ、2009年6月、全人代常務委員会は、珠海市横琴島に厦門大学が1.0926平方キロの新キャンパスを建設し、マカオ特別行政区にその管轄権を付与することを承認しました。借地権は2049年12月19日までで、横琴島の他の地区とは隔離され、インターネットの規制もなく、マカオとの往来も自由になります。
復帰当初、中国政府が後押ししたマカオのカジノ産業は瞬く間にラスベガスを追い越して世界一に成り、地元政府の歳入の70%を占め、おかげでGDPは10年間で年平均15%近く成長し、3倍になりました。しかしその一方で犯罪も増加、賭博客の80%が内地の役人や成金であることも論議の的になり、2006年からの第11次5カ年計画でマカオが国家発展綱要に組み入れられると、マカオは多元的発展を目指すようになりました。
10周年の式典にあわせて、珠海では、香港・珠海・マカオを結びつけてメガポリス化して珠江デルタ経済圏発展の核にするための架け橋となる港珠澳大橋の起工式が挙行されました。CEPAは更に強化され、ゼロ関税対象は2004年の274から2009年には1156に増え、2010年5月には香港とほぼ同一内容の7度目の『CEPA補充合意』が調印されています。
2009年8月に第3代マカオ行政長官に就任した崔世安氏の下でマカオの一国二制度がどういう方向へ発展し、周辺地域とどう融合していくのか、その行き先が注目されます。

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