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第453回大学入試の改革‐その1‐
(2011年1月31日)
2008年849万人、2009年834万人、2010年803万人、これはここ数年の高校卒業生数の推移です。大学受験者総数も似たような傾向です。2007年には1000万人の大台を突破したものの、2010年は2年続けての減少で、前年より65万人少ない957万人と、とうとう1000万人の大台を割ってしまいました。地域別に見ると、四川省・甘粛省・チベット自治区が増加した以外は軒並み前年を下回りました。
原因は第一に18歳人口の減少が挙げられますが、最近の大学生の深刻な就職難から、西部地区など非先進地域を中心に高学歴無用論が台頭したことも無視できません。2009年には、中学卒の40%近くが中等職業専門学校に流れ、その数は800万人にも達し、また834万人の新高卒者のうち84万人が大学を受験しませんでした。人口の推移と社会のニーズの変化の中で今、中国の大学は抜本的な変革を迫られているわけですが、ここではその動向を入試改革の側面から観察してみましょう。
大学入試でここ数年のクローズアップされている問題が入試での様々な加点制度。上述の如く2010年の受験者数は957万人ですが、一般大学の合格枠は657万名、合格率は前年比7%アップとやや増加したものの、依然狭き門であることに変わりはありません。加えて合格ボーダーライン付近は受験者の数も多く、、2009年の山東省を例に挙げると、本科文系の合格ラインは596点でしたが、595点から605点の間には5041名がひしめいています。理系でも合格ライン586点に対し、585点から595点の間に14100名が集中しています。そういった中で、特定基準を満たす事で得られる10点〜20点ほどの加点がどれほど大きな威力を発するか、想像に難くありません。一人っ子を持つ親たちが資格を得るために血眼になるのももっともです。
特定基準に沿って加点する制度は、合格者を入学試験の点数のみで判断する事で画一的になりがちな選抜制度にふくらみを持たせ、一芸一能など特色ある人材を埋もれさせないように、という趣旨ではじめられたもので、加点項目は毎年教育部が指定し、各省がそれに基づいて選択しますが、省での認定項目や加点数は教育部の認可を前提に最終決定権は省の教育行政部門にあります。今そこにどんな問題が生じているのでしょうか。