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第456回西部大開発、新しい10年へ−その1
(2011年2月21日)
685万平方キロ、面積は国土の3分の2を占め、3億5000万の人口を擁する西部地域。改革開放初期、鄧小平は“2つの大局”論を掲げ、「条件の整った1億、2億が先に豊かになって構わない」という『先富論』を掲げて80年代の沿海地方の発展を導き、これを受けて1999年、江沢民は第2の大局、『西部大開発』を発動しました。そして2010年、西部大開発10周年を受けて、その総括と更なる発展へ向けた青写真が示されました。
『西部青書:中国西部発展経済報告(2009)』によれば、西部地区のGDPは1998年の1兆4647億元から2008年には5兆8257億元へと年率11.42%の成長を遂げました。例えば四川省は、西部地区全体の4分の1、全国9位を占めるに至り、陝西省は、2008年時点で第一次産業、第二次産業、第三次産業の比率が11%、56.1%、32.9%に達し、明らかに本格的な工業化、高度成長の段階に突入しています。
こういった発展を支えたのが鉄道・道路・港湾・航空など交通インフラの急速な整備。従来、西部地区でも特に貧困な省として折に触れ上海と比較された貴州省でも、2008年時点で自動車道路開通率は郷鎮で100%、村も60%を超えました。雲南省は1省だけで既に12もの民用飛行場が開設されています。10年間の発展を踏まえ、新たな計画も始動し、2009年には、成都‐蘭州間、重慶‐貴陽間、昆明‐南寧間など8本の鉄道、高速道路、飛行場、水力発電所などを盛り込んだ18の西部大開発新プロジェクトが発表されました。
西部地区と言えば、近年その豊富な鉱物資源の開発が急ピッチで進んでいます。地質探査には10年間で1700億元余りの経費が投入され、877箇所の鉱物資源が発見され、石油・天然ガスの確認埋蔵量はそれぞれ50%、101%も増加しました。その他、各種金属やレアメタルなども続々と発見されていますが、こういった資源の優勢をいかに経済の優勢に結び付けていくかが常に大きなテーマとして横たわっています。その意味から、他地域との連携や14の国々と接する利点を生かした国境貿易、その延長上での国際経済圏の形成も次々と実現しつつあります。この10年で発展の基礎を築いた西部地域は、2010年から2030年を産業の育成・市場化・生態化による経済成長期と捉えていますが、その具体的内容はなにか、更に次回でご紹介しましょう。