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 第465回第12次5カ年計画が語るもの−その1−

(2011年4月25日)

2011年は第12次5カ年計画の初年に当たります。そこで、今期の計画の意味する
ところは何なのかを考えてみたいと思います。
まず、遡って昨年(2010年)春の全人代では第12次5カ年計画を控えた当面の目標として主に、経済構造の転換、社会的富の公平な分配、不動産バブルへの対応、就学・就業・受診の困難解決、戸籍改革などが挙げられました。リーマンショック後の対応で頓挫していた高度な第二次産業やサービス業への転換を目指す経済構造の転換は、2010年中頃から本来の路線への回帰が始まり、2011年にはそれが本格化しつつあり、同時に主要産業の集約化、国際的企業の育成も精力的に進められています。
富の格差については“国進民退”という批判に政府側が国有企業より民間企業の発展の方が速い事を挙げて必死に反論しましたが、いずれにせよGDPの伸びと賃金の伸びの極端なアンバランスが2010年春の賃金ストに繋がった事は紛れも無い事実で、“国富”から“民富”へ、というスローガンの登場自体が問題の所在を如実に示しています。独占企業幹部の高給問題もそこから論議になったわけですし、賃上げなど労働問題の合議制の推進はこれらの不満を解消する手立てにほかなりません。
都市の住宅価格が年収の八倍にもなった不動産バブルへの対応も焦眉の急で、低所得者・貧困者・農民の住居問題に取り組む一方、不動産バブル抑制がもたらす地方政府の財源逼迫問題もクローズアップされました。2009年、地方政府の公共事業負債額は8兆元(約110兆円)に達し、中央と地方の歳入総額を上回る勢いでした。不動産バブルを急速に抑制すれば、銀行からの多額の借り入れが焦げ付き、金融不安を招来するでしょう。その危険は現実味があり、2011年の現時点で、外資系銀行は、引き続き積極的な進出を図る一方、バブルがはじけた際にどううまく撤退するか、その具体策にも真剣に取り組んでいます。
就学・就業・受診の困難解決については、ここのコラムで取り上げているので省きますが、戸籍改革については、沿海地方の労働者確保という至上命題解決のためにこのところ急激に敷居が低くなりつつあり、注目に値します。このような過程を経て第12次5カ年計画の骨子がどう固まったか、また、2011年春の全人代政府活動報告の内容については次回に。

三瀦先生のコラム