企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

LastUpdate:

 第469回物価とインフレ−合併号1−

(2011年5月30日)

2011年春の全人代『政府活動報告』で温家宝首相は、2011年の活動内容の第一に物価の安定を掲げ、「当面、物価の上昇はかなり速く、インフレ懸念も強まっている。この問題は民生や全体の局面に関わり、安定に影響を及ぼすものだ」と述べた上で、「物価の安定をマクロコントロールの最重要任務」として取り組む姿勢を強調し、5方面からの具体的な政策を列挙しました。
まず第一に市場の流動性を効果的に管理し、物価の急速な上昇を抑えるよう通貨面をコントロールする事を、第二には、生産に力を入れて主要農産物・基本生活必需品・重要な生産資材の生産と供給を保障するとして、“米袋子”省長責任制と“菜籃子”市長責任制の実施を唱えました。“菜籃子”工程は1989年の天安門事件の原因にもなった18.8%のインフレに見舞われた1988年に始まったものです。
第三には農産物の流通システムの建設が掲げられ、具体策として“農超対接” 即ち農家からスーパーへの産直や“緑色通道” 即ちスムーズな道路輸送の確保を強調しました。第四は価格を監督し市場の秩序を保つ事、第五は物価の上昇から市民生活を守るため、様々な補助・救済・補償を行う事です。
中国の物価の上昇は、2008年のリーマンショック後の4兆元の緊急経済対策やその後の積極財政の影響もあり、2009年には前年比で食糧と油が13.0%、日用品類は15.6%値上りました。そんな中で目立ったのが農産物の価格の乱高下です。まず、2009年末にニンニクの値段が前年比20倍にもなり庶民を慌てさせました。その後、2010年1年間では、ショウガ・ジャガイモ・ナス・マメ・砂糖・綿・油・タマゴといった農産物の価格が入れ替わり立ち代り高騰しました。
原因の一つとして、一部が通貨の過剰供給による投機の対象になったことも問題視されましたが、伝統的に繰り返される需給のアンバランスにも原因があります。ニンニクの場合、2008年には1026万トンだった生産量が2009年には590万トンと42.5%も減少していたのです。2011年初頭のナガネギの暴落もまさに市場とのミスマッチと言えます。
一方、流通システムの未整備も問題になりました。

三瀦先生のコラム