企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

LastUpdate:

 第471回水対策の現状

(2011年6月7日)

2011年春、湖北省・湖南省・安徽省・江西省・浙江省など長江中下流域各省は2010年の大洪水に加え今度は過去最悪の干ばつに見舞われました。これらの地域は中国有数の穀物や淡水魚の生産地であり、物価への影響も計り知れません。地球温暖化による異常気象のせいか、こういった自然災害が近年頻発しており、2010年も西南5省で大干ばつが起こっています。長江流域だけではありません。2010年末から2011年初頭にかけては、干ばつ地域が北方の冬コムギ栽培地域に集中、地域によっては100日以上も降雨がなく、人や家畜の飲み水も不足する異常事態になりました。
元々、中国は水資源が非常に乏しく、国民一人当たりの水資源は世界第125位2200㎥ほど。政府は第11次5カ年計画期間中にダムによる給水能力を285億㎥増やし、1000本余りの河川の治水対策を行い、田畑の灌漑面積を5000万ムー、節水型灌漑面積も8500万ムー増加させ、2009年から2010年にかけては、850もの小型農田水利重点県を建設し、また、2億1千万人の飲料水を解決したと発表しています。しかし、それでも頻発する災害は防ぎえず、第12次5カ年計画の目標にはまず洪水干ばつ対策を掲げ、給水能力を更に400億㎥増やし、灌漑による被害をGDPの1.1%以下に抑制する、としています。
2011年1月、国務院は、54%の耕地が基本的灌漑設備に欠け、洪水干ばつ被害が2億1千万ムーに達する現状を改善すべく、今後10年間、水利対策に毎年2010年の倍の資金を投入する、と発表しました。また、これに先立ち、2010年春に国務院は、2010年から2012年にかけ、2011年12月31日を基準時点とする第一回全国水利一斉調査を行うと発表しましたが、これによってより詳細な実情が把握されるでしょう。
飲料水の確保は、量もさることながら水質が問題。2006年に国務院は『全国農村飲料水安全プロジェクト“十一五”プラン』を承認して、1億6千万人の農村人口の飲料水の安全確保を掲げましたが、公害汚染水を飲用せざるを得ないことによる健康被害が報告される例はいまだ後を絶ちません。「2015年には農村の飲料水の安全を全面的に解決する」という政府目標が達成可能か、人々の関心が高まっています。

三瀦先生のコラム