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第474回考古学この1年
(2011年6月27日)
国の文化財局が年間に承認する考古学上の発見は500項目余り、平均すれば1日に1〜2件は発見されるという中国。2010年もまた様々なビッグニュースが飛び交いました。前年には三国志の英雄曹操の墓らしきものが発見されて世界を沸かしましたが、真偽を確定すべく、2010年には復旦大学が父子相伝のY染色体による鑑定に乗り出し、全国から曹姓と夏侯姓の人のY染色体のサンプル収集に乗り出しました。不思議な縁というべきでしょうか、その最中、2010年5月には、河南省洛陽が、魏の名将、曹休の墓が発見された事を発表しました。何度も盗掘にあったにもかかわらず、“曹休”の2文字が彫られた銅印が発見された事はまさに僥倖というほかはありません。
前年のニュースのその後といえば、昨年この欄で紹介した“清華簡”(2000年前の竹簡)上で発見された尚書の逸文を集めた『清華大学蔵戦国竹簡』が上海世界書局から出版の運びになりました。秦の始皇帝による焚書坑儒で消失していたこれらの貴重な資料は、紀元前305年前後の写本とみられ、全てを整理するには10年ほどかかるとされています。
2010年最初のビッグニュースといえば、山東省高青県陳庄村の前漢の遺跡で出土した銅器でしょう。そこには“斉公”の文字が刻まれており、斉国の創始者で日本でも有名な “羌太公” (太公望)と直接的な関連があることが判明しました。
浙江省で発見された殷代の陶窯はほぼ殷代全期に渡って継続しており、堆積層も鮮明であるため、同時期の完全な陶器編年史を編む事ができる点で学術的価値が極めて高い、とされています。
新疆ウイグル自治区の鄯善県吐峪溝の石窟寺跡は新疆東部最古の仏教石窟遺跡群ですが、シルクロードを世界遺産に申請しようと発掘と保存を進めたところ、大量の壁画と17種類の文字で記載された大量の文書片が発見され、注目を浴びています。
2010年5月、山東省金郷県が唐の貞観4年(630年)に建立された光善寺を修復していたところ、レンガがぐらつくのでそれを取り除きました。すると、中から銀製の22の文物が現れました。その中には仏塔・舎利館・貞観年間の大般涅槃経などが含まれており、国の第一級の貴重な文化財として脚光を浴びています。