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 第476回中国伝統劇『京劇』の現状と発展

(2011年7月11日)

2010年11月、京劇がユネスコの世界無形文化遺産に登録されましたが、この日を迎えるまでに京劇の歩みは決して平坦なものではありませんでした。
京劇は清代乾隆年間(1790年)に安徽省の徽班が北京に入り、程長庚を中心に各種地方劇の要素を取り組み形成したもので、“前三傑・後三傑”などを輩出、その後、1920〜30年代には梅蘭芳、楊小楼、余叔岩の“三賢”に代表される黄金期を現出し、新中国になると、50年代末期には老・中・青に人材が揃う新しい隆盛期を迎えました。しかし、文革による迫害は深い傷跡を残し、漸く1985年になって李瑞環を中心とした“京劇音配像工程”で貴重な録音記録に映像を配する保存作業が始まり、2006年までに460の出し物が保存されました。
2009年10月になって、北京出版社から499本という過去最大の収録数を誇る『京劇伝統劇本彙編』が出版されました。多くの作品がその題材の所属する時代に沿って11章に区分され、内容の時代不詳の作品は第12章に収録されています。
伝統の継承に何より欠かせないのは人材の養成です。1996年、“中国京劇優秀青年演員研究生班”(通称“青研班”)がスタート、60年代・70年代生まれの彼らは新しい京劇の担い手としてその中核を形成しています。2010年に始まったのが“中国戯曲学院京劇流派芸術研習班” (通称“流派班”)で、80年代生まれを中心に16流派66名が全国から選出され、第5期青研班と合わせた108名は次世代の担い手として期待されています。また、“全国青年京劇演員”テレビコンテスト(通称“青京賽”)と“全国戯曲院校京劇学生” テレビコンテスト(通称“学京賽”)は90年代生まれの優秀な若者を選抜し、「次の次」の供給源になり、これに2003年に始まったCCTVの“空中劇院”を加え、俗に“両班・両賽・一院”と言われる養成体制が構築されつつあります。こうした取り組みが継続すれば、京劇を学ぶ学生がわずか2000人という現状を脱する日もそう遠くはないでしょう。これと平行して、程派の名優李佩紅が梅派の十八番『穆桂英挂帥』を演じるなど、頑なな流派の枠を超えて交流を図り、京劇の新しい発展を模索する動きもあり、注目されています。
2010年、10月2日と3日、全国18大流派が北京に勢ぞろいし、その名演を競いました。
まさに、「経国の大業、不朽の盛事」の復活を予兆させる動きと言えましょう。

三瀦先生のコラム