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第477回住宅問題の動き−その1−
(2011年7月19日)
2011年1月26日、国務院は<不動産市場調整関連問題をより着実に行う事に関する通知>(通称「新“国八条”」)を打ち出しました。その意図はどこにあるのでしょうか。
不動産バブルが加熱した2010年、政府は1月、4月、9月と3度にわたり厳しい抑制政策を実施しましたが、その効果は十分とは言えず、「抑制→やや鎮静→再燃→再抑制」のパターンを繰り返し、2010年の第四4半期には、一部の都市でバブルが再燃、北京でも購入に列を作る状況が出現しました。
2010年の抑制政策の主眼は、住宅ローン貸し出し条件の厳格化による投機資金の不動産市場への流入阻止と住宅供給の強化による需給逼迫の緩和でした。2010年に着工された社会保障性住宅と改造住宅は公称590万戸に達しましたが、需要を満たすには程遠い数量です。こうした状況を受けて「新“国八条”」が登場したわけです。その内容は、
① 各都市の行政府は第一四半期に新築住宅価格の制限目標を発表する事。
→これまで明確な数値目標がなかったため中央政府の威令が届かなかった点を改善するため、各地の経済状況に応じた具体的な縛りを設けさせ、責任を明確にしました。
② 住宅保障制度がカバーする範囲を徐々に拡大し、公共賃貸住宅の供給を増やす。
→2011年は社会保障性住宅と改造住宅を1000万戸建設する、という目標を掲げ、地方政府に土地の供給、資金の投入、税制上の優遇措置をしっかり行うよう求めました。
③ 個人が住宅を購入して5年未満に転売した場合、販売収入全額に営業税を課す。
→住宅の転売による利益への課税は購買意欲減殺効果が期待されますが、下手をすると一挙に景気を冷やしすぎてしまう危険も伴います。
④ 2軒目を購入する場合、頭金が60%を下回ってはならない。
→これも③と同様な効果が予想されます。この場合のローン貸出金利は基準金利の1.1倍を下回ってはならない、とされました。
⑤2011年の販売住宅建設用地供給量は原則として直近2年間の平均を下回ってはならない。
→住宅建設用地を2年以上ほったらかしにした場合は土地使用権を剥奪されてしまいます。
この続きはまた次回に。