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 第480回全民健身

(2011年8月8日)

本コラム2009年4月に、北京オリンピック後の健康志向の動きを紹介しました。その後オリンピック開会式の8月8日は“全民健身日”に指定され、同月19日、国務院は<全民健身条例>を承認、10月1日から施行しました。
生活が豊かになる一方、庶民の健康状態については最近様々警鐘が鳴らされています。「主要都市のホワイトカラーの60%近くが過労で、40〜50歳代のエリートの過労死が急増、全くの健康者は3%にも満たない」とか、第四回<中国住民栄養健康状況>(2010年)には「体重過多が2億人、肥満は6000万人、高脂血症患者1億6000万人、糖尿病患者2000万人余、高血圧患者1億6000万人」といった数字が挙げられています。
青少年の健康問題も議論の的。肺活量・肥満率・敏捷性・耐久力など何をとっても危うい数値で、しかも全体として年々下降気味、中高年に見られる高血圧・糖尿病・骨粗鬆症なども青少年に蔓延しています。2007年に<青少年体育の強化と青少年の体質強化に関する意見>が公布され、「生徒は1日最低1時間スポーツを」と求められたのですが、過熱する進学教育の前にその効果も薄れがち、男子1000メートル、女子800メートルの持久走は5年間で20秒も遅くなり、近眼率は小学生31%、中学生58%、高校生76%、大学生83%といった具合です。「7〜17才の世代は、日本人と比較してあらゆる面で身体能力が劣っている」「日本人生徒で毎日平均2時間運動する者21.3%、中国人生徒はたった6.3%」とも。
事態打開のため様々な取り組みが始まっています。2010年3月に全人代の温家宝首相<政府活動報告>に初めて「公共体育事業」という言葉が登場して「大いに発展させて人民の身体能力を高める」ことが提唱され、同年、ネット上には健康管理サービスが登場、7月には中国健康促進基金会・中華医学会・東軟グループが共同で健康管理知識データバンクを作り、健康管理サービスモデル基地を設立して社区(地域社会)の慢性病管理実施方法の探索や健康管理専門員の養成を行う動きを示し、また、衛生部も8月に<栄養改善工作管理規則>を発布して食事内容と栄養改善効果、さらに関連病のチェックなどに取り組み始めました。2011年2月15日、<全民健身計画(2011〜2015)>が示され、これに呼応して全国各自治体は様々な取り組みを始め、関連ビジネスも急速な広がりを見せています。

三瀦先生のコラム