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 第485回深化する食品の安全対策

(2011年9月13日)

周知の如く中国ではメラミン入り粉ミルクや亜硝酸塩・エンロフロキサシンなどを使った毒モヤシ、更には毒ニラや毒ショウガが次々と問題になり、また、生ゴミから精製した「どぶ油」のような再生品の問題も深刻です。政府は乳製品に対して2010年4月に66項目の安全国家基準を公布、「どぶ油」に対しても同年3月に使用者の飲食経営許可証を取り消す緊急通知を発し、5月から施行された<飲食サービス許可管理規則>や<飲食サービス食品安全監督管理規則>で回収した食品の再利用が禁止されました。食の安全に対する庶民の意識も「値段が10%から物によっては数倍高くても安全なほうが良い」と空前の高まりを見せ、トレーサビリティに基づく“三品一標”(無公害農産物・緑色食品・有機農産物・農産物生産地表示)が急速に浸透、2010年には全食用農産物商品の30%を占めるに至りました。
政府の取り組みも真剣で、2009年6月1日に<食品安全法>が施行され、9月から5つの検査チームが10の一級行政区、31の二級行政区で綿密な調査を行い、2009年1年間では6045種類の食品の生産許可を取り消しました。従来の安全管理は統一性がなく、検査基準も不統一、検査は金でOK、安全情報も場当たり、という批判に応え、政府は2010年2月、食品安全を統括する機構として15部門による国務院食品安全委員会を設置しました。同年3月には<2010年食品安全整頓業務設定>が出され、違法な添加物の使用や添加物の乱用、農産物の品質・食品の生産加工・輸出入・飲食消費・屠殺・保険食品のチェック強化、生産企業の信用システム整備などが盛り込まれました。3月には新規<副食品プロジェクト建設に関する意見>が国務院から出、野菜・果物・肉類・水産品など10種類の主要生産品に対する基準化推進と、2015年には野菜や果物などのトレーサビリティ確率が示されました。
様々な食品添加物や農薬の使用に対する規制の試みも始まっています。中国では抗生物質の半分が畜産業に使われており、耐性菌の問題も深刻。また、漂白剤、膨張材などの添加物も多く、政府は<食品添加剤生産監督管理規定>の整備に取り組み、農薬についても、今後3年で残留基準を現在の807項目から7000項目に増やす計画です。
2011年2月、食品安全委員会は「2011年食品安全監督管理8つの重点」を発表しましたが、総合的食品安全管理体制の確立は第12次5カ年計画の重点項目の一つと言えましょう。 

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