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 第491回東北発展のカギ、吉林省の動き−その2−

(2011年10月24日)

省の発展に不可欠なのが新興産業の育成。新エネルギー自動車基地建設の他にも、例えば延辺自治州では、①ロシアからの石油の巨大な石油備蓄基地とその関連精製設備の建設 ②アジア最大の磁鉄鉱露天掘りで有名な北朝鮮茂山鉱山やロシアからの鉄鉱供給を踏まえた鉄鋼生産基地の建設 ③2000年に中ロ両国間で締結されたシベリア森林資源開発協力協定に基く、琿春(柔軟な政策が可能な国境貿易区設立)における物流・木材工業パークの建設 などが構想されています。1452キロというロシア・北朝鮮との国境を抱える吉林省国境周辺地区にとって、やっとそれが優位性になりつつあるのです。
省全体の地域発展構想も進行中。長春市では『工業化と都市化』を基本戦略に、開発区・都市部・県域という三大地域の協調的発展を掲げて、150以上、総投資額3000億元のハイエンドプロジェクトと21のハイテク関連産業パークが動き出していますが、最近打ち出されたのが長春市と吉林市を中心としたメガポリスの建設。長吉高速鉄道の開通で20分で結ばれた両都市は、構想では2020年に人口700万人、都市化率80%以上(cf.全省では65%が目標)に。更に周辺の四平・遼原・松原などの中部都市群も1時間経済圏に取り込みます。これに呼応して東部国境地帯では延辺・竜井・図們江が一体となって中心部を形成、西部松嫩平原では松原市が中心を目指し、東南部では通化市が中心的地位を固めつつあります。通化と丹東を結ぶ新丹通鉄道の開通で鉄道距離は635キロから321キロに縮小、更に大連−丹東−通化−牡丹江を結ぶ東武鉄道が全面開通すれば、通化・白山・本渓・丹東による鴨緑江経済ベルトが長吉図と連結し、東北地方東部地域発展に大きな弾みとなるでしょう。
近代的な農業の育成も重要課題。吉林省は食糧生産では全国上位10県中6県を占め、一人当たり食肉生産占有量は12年連続で全国一。これを如何に近代化するかは工業化・都市化戦略の重要な前提になります。そこで同省を食糧・牧畜業・林業・北方特産産業・農産物加工品工業のメッカ、強力な農村経済省にしようという『五大一強』戦略が提起され、現代化された農業産業・インフラの保障・技術革新・制度保障という4つのシステム整備が掲げられています。既に水稲や大豆においては世界的な成果が報告され、農作業の機械化率は55%に達し、30の主要穀物生産県が100%実施へのモデル地区に指定されました。

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