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第500回自動車産業再点検−合併号2−
(2011年12月26日)
中国自主ブランド車は国内の3・4ランク市場の中・低レベル車では80%のシェアを占めていますが、補助政策の終了に加え、外資系合弁企業の自主ブランド車の攻勢や小型車への進出に晒され、国際競争力が弱いため輸出も不振、ほとんど儲けが出ていません。低価格帯市場の伸び悩みがまさにそこを直撃したわけです。
第一四半期も低迷傾向は顕著で、それが4・5月と続きました。年間成長率予想は5%に下がり、10月に政府が燃費基準を厳しくした影響もあり、年間成長率予想は更に3%に下がりました。一方、高価格帯車種では高い成長が維持され、注目されました。例えば上半期の販売台数は前年比でBMW60.8%増、ベンツ59%増、ボルボ36%増、アウディ28%増といった具合です(国内自主開発車は0.87%減)。日本企業でも、9月時点でニッサンが前年比20.9%増になるなど4社が2桁増となりました。
今後、中国の自動車市場はどこまで伸びていくのか、保有量4.5億台、いや1.5億〜2.0億台が限度だ、と予想はまちまち。ただ、1000人あたり保有台数は世界平均が128台、中国は55台、世界平均で考えれば1.7億台になります。政府は2020年の保有量が2億台を超え、年生産規模は2000万台を超える水準を維持するだろう、と予測、付随する問題を解決するため、省エネ・排出削減、新エネルギー車開発の重要性を強調しています。ただ、各企業の生産能力増強計画は4000万台を超え、輸出の振興(2010年54.49万台、全生産量の2.98%、主要生産国で最低)はもちろん、生産設備拡充計画の調整も必至です。
中国は、新エネルギー車の開発では世界の先頭に、と既に2000年、<863計画>にハイブリッド車・純電動車・電池自動車の開発を盛り込み20億元を投入、2009年には<“十城千輌”プロジェクト>もスタートし、充電所は2011年に全国で76箇所でき、2011年4月には上海で8人のEVマイカー所有者も誕生しました。しかし、技術開発とインフラ整備が困難で社会の反応は極めて鈍く、2010年6月に<新エネルギー車個人購入補助試行に関する通知>を出したものの、2011年6月までの1年間の販売台数はわずか100台ほど。「まず、ハイブリッド車に全力を注ぐべきだ」という声が政府関係者からも出ており、メーカー側も戸惑いを見せ、政府の態度を見極めよう、と様子見に入っています。