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 第509回後を絶たないずさん建築

(2012年3月5日)

2011年7月、わずか5日の間に3件もの崩落事故が起きました。11日に1997年に建設された江蘇省塩城市内の通楡河橋が、14日に築12年に満たない武夷山公館大橋が、15日には築14年の杭州銭江三橋が崩落しました。武夷山の事故では観光バスが転落し、死者も出ています。こうした状況は突然の事ではなく、それ以前にも1999年には重慶で、2007年には湖南省で、2010年には河南省でやはり橋の崩落があり、「かたや1400年以上も前に建設されてびくともしない橋があるのに」との嘆きも—-。(2011.7.18人民日報)
銭江三橋では、既に3月の時点で裂け目が発見されたのにレンガを埋め込んで塞ぐことしかしなかった、というお粗末な話も伝わっていますが、その後、8月2日付同紙に掲載された“网民热捧桥坚强”という記事は、戦時中、日本軍の攻撃の最中に堅固な銭塘江大橋を建設した茅以昇の卓抜した精神と技術、橋建設に関わるエピソードを紹介、「一体、今、我々にかけているのは何か」と問いかけています。
経済の急速な発展で全国いたるところ建築ラッシュですが、建設にまつわる不祥事や醜聞は後を絶ちません。2011年、開通間もない京滬鉄道に故障が相継ぎ、遂には大事故に繋がったのは記憶に新しい事ですが、その他にも、河南省の鄭州では完成したばかりの団地8棟が手で壁を押したら簡単にレンガが崩落することがわかり、2ヶ月もたたずに取り壊される羽目になりました。住宅建設で規格外の細い鉄筋が大量に使用されていることも指摘されています。広東省の中山市では5億元以上もかけた外環道路が3年余りで広範囲に沈下したり、大連では地下鉄工事現場が頻繁に陥没したり、と枚挙に暇がありません。共産党結党90周年に合わせた“献礼工程”膠州湾大橋は開通時、まだ多くのボルトや隔壁・照明が取り付けられていなかったことも明らかになっています。“形象工程”“政绩工程”“钓鱼工程「安く請け負い、後で工事費をつり上げる」”“半拉子工程「受注後資金不足でいつまでも未完成」”“豆腐渣工程「手抜き工事」”と問題工事は発生理由に事欠きません。
政府は2009年7月、建築にまつわる問題に対する全面的な調査を決定、2010年から、500万元以上の公的資金を使った工事の一斉調査を行い、その結果、対象の366800件に対し、215600の問題が発見され、9349人が処分を受けましたが、これも氷山の一角でしょう。

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