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第511回2011年人民日報日本関係記事−その2−
(2012年3月19日)
2011年の日本に対する全般的な報道は、震災を除けば、総じて各方面にわたりバランスの取れたものでした。前年の尖閣列島問題の反動もあり、関係修復の意識もそれなりに働いていたようです
8月12日付人民日報は、中国日報社と日本言論NPOが共同で実施した第7回日中関係世論調査の結果を報道、日中関係を非常に重視するという普遍的認識はあるものの、双方に対する好感度には波があること、領土問題が障害に成っていること、経済・文化の側面が注目されていること、両国の経済発展は互いに有益であること、関係改善に対する民間交流の重要性が幅広く認識されていることなどが挙げられています。また、同月22日付ではさらに詳しく、中国人の60%以上、日本人の80%近くが相手に好感を抱いていない事を率直に紹介、不信感を造成する原因を領土問題、民間の相互不信、海洋資源問題に求めつつ、勇気を出して民間の好感度を高める事を提言しています。同年8月16日付では、23面全面を使って「中国製と日本人の生活」というテーマで開催された第六回日本人中国語作文コンクールの内容を紹介し、「日本メディアとは異なり、一般の日本人は中国製をかなり客観的且つ公正に評価している」と結んでいます。
外交レベルでは、日中韓の交流が盛んに行われた年と言えます。領海問題、北朝鮮問題、FTA問題、国際金融危機など様々な重要テーマが絡み合う中で、この3国がどういった協調関係を築いていくのか、まさにこれからが正念場でしょう。8月末の首相交代で中国側は野田首相の出現に戸惑っており、しばし様子見の状況ですが、その一方で、習近平氏、李克強氏ら次世代指導者とのパイプ作りも進められています。
日本経済に対する見方は総じて厳しいものがあり、震災の影響はもとより、GDPの193%にも上る919兆円という巨額の債務が日本経済の長期的衰退に繋がるのではないか、と予測、また、少子化により、2050年には人口が1億人、労働人口は全体の44.6%に減少し、高齢化が顕著になることが予測され、西欧よりはましだとは言うものの、年金問題が燻っているとも指摘しています。その一方で、中国がGDPで日本を追い抜いたと言っても、一人当たりは日本の10分の一であり、国民生活の質の面ではまだ遠く及ばない、との冷静な分析も。