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第515回石炭産業の現状
(2012年4月24日)
2011年からの第12次5カ年計画で、政府は、「安全且つ効率の良い炭鉱を発展させ、石炭資源の統合、石炭企業の再編を推進する」と言う方針を打ち出しました。石炭産業といえば、集中度が低く、粗放的で、各資源間の連携が悪く、事故が多発するなど安全性に問題があり、環境汚染の元凶にもなっている、その状況を改善しようという意図です。
こうした方針の下、近年、石炭産出量が多い12の省区(黒竜江・内蒙古・山西・陝西など)では相継いで大型石炭グループ企業が誕生しています。中でも、中煤グループは年間産出量が1億トン、神華グループに至っては3億トンにも達しています。政府は、2015年には1億トン級企業10社、5000万トン級10社を育成、これらの企業が全体の産出量の65%以上を占めることを目標に掲げています。
同時に多くの問題の発生源となっている小規模炭鉱の閉鎖も精力的に進められています。2011年春、国土資源部は通知を出し、2013年末までは、国務院が承認した石炭資源重点開発プロジェクトと中央の地質探査基金による石炭資源調査、及びそれに準じる省レベルのプロジェクトなど一定の条件を備えた案件以外は、石炭の探査権の申請を受理しない方針を打ち出しました。吉林省は既に2010年末までに104箇所を閉鎖し、事故件数は82%も減少しました。内蒙古自治区でも2013年までに353ある炭鉱を100以下に絞り込む計画です。
その一方で、政府主導の発展計画も盛んに行われています。既に第11次5ヵ年計画では炭鉱での採掘における機械化、現代化がかなり進んでおり、年産1000万トン以上の企業は46社、大型石炭基地の生産量は28億トンと全国生産量の87%に達していました。各行政区でも、全国一、7414億トンの埋蔵量を誇る内蒙古自治区は既に2010年に初めて7億トンを突破、予測埋蔵量トップの新疆ウイグル自治区も石炭資源管理制度を打ち出し、新しい取り組みを始めています。
寧夏回族自治区は豊富な石炭資源をベースに、国の重点開発区として、大規模石炭基地、石炭化学工業基地、西電東送火力発電基地、循環経済モデル地区を目指した建設が始まっています。豊富な石炭を低炭素化したクリーンエネルギーとして活用する技術も、中国の将来のエネルギー戦略のカギを握る技術として、国を挙げた開発が進められています。