トップ > 現代中国放大鏡
LastUpdate:
第524回交通安全への取り組み
(2012年06月25日)
自動車が急速に普及し、車両台数は2億2300万台を、ドライバーも2億3400万人を突破した中国。交通事故が毎年400万件以上発生し、30万人が負傷、7万人余りが死亡、直接的な経済損失額は10億元とも。その交通事故の80%以上が違法な運転が原因というわけで、交通違反取締りの早急な強化が求められています。
2011年3月、政府は同年の“文明交通行動計画”を策定しました。大都市に特に力を入れると共に、中小都市でもキャンペーンを開始し、農村部にも波及させようと言うものです。
翌4月、全人代は改正道路交通安全法を可決、5月1日から施行されました。その中で注目されたのが、飲酒運転、酔っ払い運転に対する刑の強化で、第91条では、一般人に対して「飲酒後の運転は6ヶ月の免停、罰金1000元、再犯は10日以下の拘留と1000〜2000元の罰金、免許取り消し」と規定、営業車の場合は更に厳しい罰則が設けられました。刑罰の強化は早速効き目があり、施行後半月で飲酒運転が北京で82.2%、上海でも55.8%減り、酔っ払い運転は全国で35%減になりました。4ヵ月後には、死亡事故が、飲酒運転では29.3%、酔っ払い運転では26.9%減りました。ただ、問題は罰則の適用が公平に行われるかで、情状酌量が恣意的に行われる事がないか、危ぶむ声もあります。
同年11月16日、甘粛省で21人が死亡(うち19人が幼児)、43人が負傷するスクールバスの大事故が発生しました。このバスは定員6人のところになんと64人を乗せていたのです!しかし、同月21日付の人民日報が掲載した独自調査によれば、このような定員超過は日常茶飯事で、江西省南昌市では乗車率330%以上のスクールバスも。同省のスクールバスは611台のうち44.68%が無許可。このような状況では甘粛省のような事故が発生するのも無理はありません。警察に摘発されたこともあったが、罰金を払ったらそのままでOKだった、というのですから警察にも責任があります。一ヵ月後、政府が<スクールバス安全条例>の草案にパブリックコメントを求めている最中にも、江蘇省でまたスクールバス事故が発生、15人が死亡しました。政府は2012年1月、スクールバスの車体の強化を目的とした国家基準を定めましたが、このほかにも、公共の長距離バスやトラックなどの運転手の質やマナーの向上、常態となっている孫うけの弊害など、事故発生に関わる課題は山積しています。