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 第525回進む宇宙開発事業

(2012年07月09日)

2012年6月16日。中国は宇宙飛行士3人(女性一名)を乗せた有人宇宙船「神舟9号」を打ち上げ、同24日に、2011年9月に打ち上げられた宇宙実験室「天宮1号」との手動と自動によるドッキングに成功、米露に次ぐ三番目の成功国になりました。2020年に有人宇宙ステーションの建設を目指す中国にとって、大きな一歩を踏み出したと言えましょう。「神舟9号」は13日間の飛行を無事終えて、29日に内モンゴル自治区に無事帰還しました。
ここ数年、中国の宇宙事業の発展は目覚しく、2001年の1号に続き2010年10月に発射された月探査用の嫦娥2号は月の100キロ圏内の軌道を回り続けて探査を行い、予定の任務を完了した2011年6月には月の圏内から離脱し、地球から150万キロ彼方の観測へ出発しました。嫦娥3号は2013年打ち上げの予定で、月への上陸が計画されています。
そして2011年9月29日に発射されたのが宇宙実験室「天宮1号」。重量8.5トン、設計寿命2年で、地球から300キロ余り離れた軌道を周回しています。中国は自前の宇宙ステーションを立ち上げるために3段階の計画を立てていて、第一段階の有人宇宙船打ち上げは「神舟5、6号」で達成済み。第2段階はまず2008年の「神舟7号」で船外活動に成功を収め、いよいよ「天宮1号」と「神舟8、9、10号」とのドッキング、輸送宇宙船による水や空気など必要物資器具の補給を試す段階に突入したのです。11月1日に打ち上げられた「神舟8号」は3日に「天宮1号」とのドッキングに見事成功するとともに、中国・ドイツ両国共同の空間生命科学実験装置も搭載し、17のテーマで実験を行いました。
宇宙探査以外で注目されたのが様々な衛星の打ち上げです。GPSに対抗するシステムを構築すべく整備が進められてきた「北斗」は2011年4月に第8基、7月に第9基、12月に第10基と打ち上げられ、12月27日、政府スポークスマンは、正式な試験サービス開始を宣言しました。今後、軍事面も含め、様々な分野での応用が始まるでしょう。
このほか、2011年には、通信やテレビラジオ放送用の「中信10号」、海洋環境監視観測用の「海洋2号」、国土資源調査用の「資源1号」なども含め、過去最多の19の発射が行われました。他国の商業衛星打ち上げも20数年来でほぼ40基に達し、益々盛んになっています。2011年には、欧州からは初となるフランスの通信衛星の打ち上げも実施されています。

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