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第533回起業にまつわる話−合併号1−
(2012年09月10日)
第12次5カ年計画(2011〜2015年)期間中、中国の大学卒業生数は年平均667万人、これに未就業の既卒者を加えると大学卒の求職者数は800万人を突破します。加えて農村には余剰労働力がなお1億人余り存在し、都市に流入する失業登録者数は毎年1000万人、となれば、就職難は目に見えています。そこで求人難を補う方策として益々重要視されているのが起業の奨励です。
実は起業の奨励は2006年に遡ります。産業構造転換の要請の下、大学レベルの高等職業教育専科のニーズが高まり、国は2006年に<国家模範高等職業専門学院建設計画>をスタートさせました。その結果、なんと僅か3年間で模範高等職業専門学院の数は16倍に増え、協力企業は24000企業に、企業派遣の教師も26000人へとそれぞれ倍増しました。こうした中、2007年、2008年の高等職業教育専科の就職率は96%を維持、起業率も本科生の2倍に達しました。そこに起こったのが2008年秋のリーマンショックとそれに伴なう金融危機です。このため2009年になると、大卒者とりわけ本科生の就職難は社会問題化し、それが2010年卒に直結すれば問題は更に深刻化します。そこで政府が対策の一つとして起業の奨励に本腰を入れ始めたわけです。
政府はそれまでに11の国家大学科学技術パークに<大学生科学技術起業実習基地>を設け、これにより2009年は年間で2236人が起業しました。2010年4月、教育部、人力資源と社会保障部、財政部、中国人民銀行、国家税務総局、国家工商総局の政府6部門が合同で、起業教育、起業基地の建設、起業政策のサポート、起業サービスを柱とした<起業誘導計画>を打ち出しました。この計画は、2010年から2012年までの3年間で大学生45万人に起業させようというもので、主な内容は、大学卒業生が起業する場合の資金や人員、営業拠点などの参入条件を業種別に柔軟に設定、また、卒業2年以内に個人営業者になる場合は工商部門に登録してから3年間は管理費、登録費、許認可費用などは免除する、というもので、資金の調達にも小額担保ローンなどを整備して道を開きました。
2010年生の卒業を間近に控えた翌5月、政府は<大学起業教育と大学生自主起業の大幅促進に関する意見>を打ち出し、各大学に対し、独自に起業補助金制度を設け、訓練を行い、各研究成果、発明、特許などで起業する積極的具体的な取り組みを要請しました。