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第539回民間金融解禁−温州の試み
(2012年10月15日)
中国の中小企業で金融機関から融資が受けられているのはわずか10%。多くの中小企業が資金難に喘ぐ中、融資活動に法的根拠が与えられていない豊富な民間資金に関心が集まっています。一方で切迫したニーズがあり、一方では資金の運用先に血眼の資金があるわけですから、これを活用しよう、という考えが出てくるのは当然です。しかし、中国では管理する法律が無く、グレーゾーンに位置する民間融資は、便利である一方、高額の利息や違法な取立ての温床にもなり、その餌食になる企業も少なくありません。
こういった民間金融を日の当たるものにしようという試みが浙江省温州市で始まりました。2012年3月28日、国務院常務会議は温州市金融総合改革実験区の設立を決定、民間資金がルールに則って融資する道を全国的に切り開くためのテストケースとすることを表明しました。温州市は俗に“两多两难”(中小企業が多く、融資が受けにくい、民間資金が多く、投資先を探しにくい)と言われる地域。40万余りの中小民間企業を擁し、中小企業のメッカとも言われる一方、29行を数える銀行には金融引き締めで相手にされず、融資難に直面し、地域経済は大打撃を受けてしまいました。そこで従来から盛んだった“地下銭荘”と呼ばれるヤミ金融が豊富な民間資金を背景にそれに変わる役割を果たし始めたのですが、従来は自律的に秩序だった運営も行われていたこれら「ヤミ金融」にも、切迫した需要と政府による法的管理が無いことを背景に、上記のような様々な問題、例えば年利を100%に設定するなどといった事例が生じるようになったのです。
今回の国務院の決定は、民間金融の正当化と規範化を柱に、村鎮銀行・融資会社・農村資金互助社といった金融機関の設立や地方資本市場の育成などを含む12の主要目標を掲げていて、今後、これに沿って関連する省の権限が温州市へ下ろされていく事になります。
4月に入り、7社の小額ローン企業の入札が始まりました。楽清市の入札資格は主要発起人企業の純資産1億元以上、負債率70%以下、最近3年黒字で累計利潤が2000万元以上というもの。そして、審査委員会が資本金、経営能力などを評価して採点します。合格すれば、潤沢な資金提供が保証されます。こういった動きに対し、浙江省は既に50余りの項目を含む一括プランを打ち出しており、その成果が注目されます。