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第五十四回 中台関係-ねじれ現象?
8月3日、台湾の陳水扁総統が、東京都内で開かれた世界台湾同郷会連合会の年次総会に寄せたメッセ−ジのなかで、中国と台湾は“一辺一国”(それぞれ別の国である)と述べたことが中国側の反発を買い、中台間の政治的関係は暗礁に乗り上げてしまいました。しかしその一方で、経済、文化などの交流はますます盛んになっています。
今年上半期、中国は遂にアメリカを抜き、台湾の最大輸出市場になりました。珠海では台湾からの投資が前年比109%と激増し、上海や江蘇省海門には台湾ハイテク技術区もオープン。また、銀行間の提携も急ピッチで、中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行などが、続々台湾の銀行と代理業務関係を結び、台湾の銀行も8行が大陸内での代表処の設置を申請、既に、世華連合商業銀行と彰化商業銀行が設置許可を取得しています。
アモイにいる台湾の人々が旧正月や清明節に金門島経由で直接帰国できるようになったのもニュ−ス。アモイ−金門島間の貨物船の運航も可能になり、また、航空関係では、上海から香港経由で台湾へいく乗り換え無しの飛行が可能になりました。 若者たちの動向も注目されます。いま、台湾は就職難。多くの若者が大陸の大学に進学、北京中医薬大学、広州中医薬大学にはそれぞれ300〜400名の台湾留学生が、北京大学でも100名を越えています。台湾ではいまだに大陸の学歴を認めていませんが、国際的に通用すればそれで十分と、若者たちは意に介さないようです。
9月初旬、山東省曲阜の孔子博物院の肝いりで、<永遠の孔子文物展>が台北の国父記念館で幕を開けました。同会場では、梁啓超、胡適など、<台湾百年文化名人展>も開催されています。9月28日には北京で中国社会科学院台湾史研究センタ−が発足、台湾史を中国史の一部分として位置づける大陸側の姿勢が明確に打ち出されました。これに呼応するかのごとく、台湾側の独立反対勢力<中国全民民主統一会>が10月8日に大陸を訪問し、大陸側の<中国和平統一促進会>と座談会を開き、連携を強めました。
台湾ではこの秋から中学校で歴史の授業が無くなり、代わって社会科が登場し、中国史の記載は無くなりましたが、文化、経済レベルとのねじれ現象とともに、独立反対派との軋轢もどう解決するのか、成り行きが注目されます。