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第541回自然災害への対応−その2−
(2012年10月29日)
自然災害は洪水や日照りだけではありません。地震多発地帯を抱える中国では、地震対策も必要不可欠。政府は2010年までに21の都市とその郊外の109本の主な断層を調査、そのうち26本を活断層と認定しています。また、中国科学院が2007年に出版した『中国活断層構造図』には、全土で400本余りの活断層が標記されています。政府は今後、2020年までにすべての地方級都市の活断層の調査を完了する予定で、また、全国260箇所を連続観測ポイントに、2000箇所を不定期観測ポイントに指定して<中国大陸構造環境観測網>を立ち上げ、アメリカのPBO、日本のGEONETとともに世界三大ネットを形成することを目論んでいます。その一方で、関連する津波対策にはまだ多くの空白があり、正確な予測率は25%程度と、今後の対策が急がれます。
中国の特徴的な自然災害のひとつに砂嵐が挙げられます。2011年1月に発表された<中国荒漠化・砂漠化土地状況広報>によると、全体としては抑制されつつも、四川省西部地区などでは被害が更に拡大しつつあります。過度の放牧や農業用水利、更には石炭の乱掘で草原は退化し、湖沼は40%近く喪失し、ネズミの害が蔓延しているとのこと。こういった地域は大河の源流地でもありますから、この状態が続けば広範な中下流域にも深刻な影響を与えかねません。そこで政府は<全国防砂治砂総合モデル地区建設プラン2011-2020>を策定、当該地区の砂漠化防止率70%を目標に掲げ、国土面積の18.03%に及ぶ砂漠化地域への本格的な取り組みを開始しました。北方の多くの湖沼は塩分を含んでおり、それらが枯れたことにより砂塵の塩分含有量が増加して人体への影響が深刻化、北京では砂嵐による呼吸器疾患が2011年比で30%も増加しているのです。
多発する自然災害への応急対策や救助対策にも力が入れられています。2011年、商務省は<生活必需品市場供給応急管理暫定規則>の整備に着手、Ⅰ〜Ⅳ級に分けた対応を提案しました。同年11月1日、政府は死亡者200人以上をⅠ級、30人以上をⅣ級とする改訂版<国家自然災害救助応急対策>を発布しました。また、<国家総合防災減災プラン2011-2015>も出され、年平均の経済損失をGDPの1.5%以内に抑える事、対策人員275万人の確保、5000箇所の全国総合減災モデル社区の建設などが謳われています。