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 第544回舟山群島新区設置とその後の発展計画

(2012年11月19日)

2011年6月30日に、上海浦東新区・天津浜海新区・重慶両江新区に続いて、国務院によって第4の国家レベル開発区に承認された浙江省舟山群島は、海洋経済をテーマとした初の国家戦略レベル新区でもあります。
舟山群島は4つの島嶼県(区)から成り、人口114万人、陸地面積は1440平方キロで、本島は中国第4の面積を誇ります。その位置は中国東部沿海地域のほぼ中間地点にあり、北は山東省の港湾を経て渤海湾へ至り、南は福建省沿岸の港湾を経て広東省に続き、西は杭州湾から長江の水運へと連なり、東は海を隔てて釜山・大阪など東アジアの大港に連なる国際輸送の主要海運航路上にあります。また、地方市クラス中唯一群島で構成され、1390の島々を抱え、水深が深い海岸線は全国の18.4%、280キロメートル余りに達し、港湾建設開発に適した海岸は54か所、年間貨物取扱量10億トンを超える埠頭の建設が可能と言われています。 
また、海洋資源にも恵まれ、「中国の漁都」舟山漁場は世界4大漁場に数えられていて、水産物年間生産量は120万トンと全国の10分の1にも達しています。また、港湾物流・臨海工業・海洋観光・漁業を柱とする海洋経済体系も形成されつつあります。
2012年2月、舟山市第六回党代表大会は「4島1城」構想を発表しました。これは国務院の「浙江省海洋経済発展の先導区」「中国海洋総合開発試験区」「長江デルタ地区経済発展の重要な成長極」という戦略的位置づけに沿ったもので、「国際物流島」「自由貿易島」「海洋産業島」「国際リゾート島」と海上庭園都市(人に優しいスマートシティ)を指します。
このうち「国際物流島」構想では大口商品の国際的ハブ港建設を目指し5年間に1000億元以上を投資する計画で、2016年には呑吐量4.5億トン、10万トン級の深水バース24本、大口商品取引額2500億元達成を目論んでいます。既に2012年1月には大口商品交易所が開設されています。また、「自由貿易島」構想では総合保税区を設立し、2015年には貨物輸出入200億ドル、サービス貿易輸出入20億ドル、利用外資10億ドルを目指しています。
舟山群島はエネルギー資源も豊富で、風力発電、太陽光発電、潮流発電も計画されています。対岸の寧波と一体化し、沿海と沿江(長江沿い)によるT字型発展の軸として、将来は全国有数の石油・鉄鉱石・石炭・化学工業製品の中継貿易加工基地をも目指しています。

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