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 第546回国内消費需要を如何に喚起するか−その1−

(2012年12月03日)

2012年春節。家電や自動車は購入補助政策が終了し、その後を補う景気刺激策が打ち出されていなかったため消費が低迷、住宅市場も引き続く政府の引き締め政策で元気がない一方、文化的な娯楽が一層多彩になり、新しい消費傾向として注目されました。
公共投資・貿易・国内消費という経済成長を推進する3大要素の比率がいびつだった中国経済が今後の安定的な経済成長を担保するには国内消費の喚起が欠かせませんが、ではどうしたら持続可能な消費の成長を実現できるのでしょうか。大きく分けて、消費の主体が誰なのか、消費の内容は何が柱になるべきなのか、と言う問題があります。
消費の主体でまず是正されるべきは、一部の高所得者を主体とするのではなく、大多数の一般庶民を主体にすることです。しかしその一般庶民も経済発展とそれに伴なう社会変化の中で幾つかのグループに分化しています。都市部では、高所得者・中所得者・低所得者・出稼ぎ労働者それぞれ特徴があり、農村も、豊かな農村と貧しい農村では大きな開きがあり、各々相当の人口を抱えているため、対象に特化したきめの細かい政策が必要になってきます。
まず第一に、都市の中所得層を消費の主力に位置づけ、そのニーズにあった商品、流通、供給方法を開発し消費環境を整備することです。また、衣食の確保に精一杯で、医療や老後に不安を抱えている低所得層、もう農村に帰っても土地が無い低収入出稼ぎ労働者の存在はジニ係数からも明らかで、長期的な視点に立てば、彼らの技能を高め、雇用を確保し、賃金を引き上げて消費を見込める中所得層に取り込まない限り、持続可能な消費の成長は望めません。経済成長率に伴なう賃金のアップ、そのアップ率を食いつぶさないような物価のコントロール、安心して消費に金を回せる社会保障の整備、いずれもが不可欠の要素です。
一方、農村の都市化も消費の成長には大きな力となります。2010年の都市と農村の収入格差は3.6倍ですから、その違いは歴然です。2011年、中国の都市化率は51.3%と初めて農村部を上回りました。しかし、多くの省や市が目標とする65%前後の都市化率まではまだまだ発展の余地があります。勿論、農村でも工夫によって消費の拡大は期待できます。エンゲル係数はまだ都市部より5.4ポイント高いものの、都市部並みの社会保障を整備し、流通網を整備して選択できる多様な製品を供給する事で、潜在需要を喚起できるはずです。

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