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第547回国内消費需要を如何に喚起するか−その2−
(2012年12月10日)
4月以降、半年以上にわたり社会消費品の小売総額の伸びが減速し続けた中国経済。経済成長→国民の収入増→国民の消費増→経済成長、という好循環を達成するにはどこのポイントを強化すればいいのか、前回は国民の収入増について、消費主体の大衆化という観点から論述しましたが、では、国民の消費増を実現するためには何が必要でしょうか。
厳しい状況とはいえ、今年の消費傾向には幾つか注目すべき点があります。上半期、消費の実際の増加率はGDPのそれを3.4ポイント上回り、GDPに対する貢献率は57.7%と投資の貢献率を2002年以来はじめて上回りました。どんな分野の消費が伸びたのか、その特徴について、商務部の房愛卿氏は以下の点を列挙しています(人民日報2012.9.17第2面)①インターネットの急速な普及によるネットショッピングの急増。上半期の取引規模は5119億元で前年同期比46.6%増。 ②化粧品や文化的事務用品の消費増。 ③自己啓発、能力アップのための文化教育支出増。 ④“80后”“90后”世代に代表される消費の個性化。 ⑤環境に優しい消費。省エネ自動車、省エネ照明、省エネ家電など。乗用車販売の70%以上が1.6リットル以下。 ⑥新しいサービス形態。家政婦サービス、多様化する飲食、情報サービス、レジャー観光など。家庭サービス業務は毎年20%増で家政婦不足。2012年1-7月の観光者数は前年同期比13.1%増、延べ6000万人。
工業化・都市化・農業の産業化という3大アイテムを強力に推進し、それによって内需を拡大しよう、と言う方針を貫徹するには幾つかのポイントがありますが、そのひとつがサービス業の推進でしょう。産業構造の転換とグレードアップが急務になっていますが、サービス業を発展させる事はまさに産業構造転換の一翼であり、新規雇用の創出という面でも大いに期待されます。ネット消費者は既に2億人に達しようとしていますが、流通網の整備、物流の簡素化、信頼度の向上なども、新しい消費形態の推進には欠かせません。2012年3月に中国消費者協会が発表した消費の安全に関する報告では、人身・財産・情報・環境・心理の5方面が特に問題視されていましたが、どぶ油や食品の違法添加物、銀行カードの不正使用、ネット販売のインチキ、宅配物の失踪や破損、インチキ広告の氾濫、個人情報の漏洩、環境の破壊、交通や施設の安全など、消費を阻害する要因の是正も急務になっています。