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第551回環境保護政策−新時期の取り組み
(2013年01月07日)
第12次5か年計画期間(2011〜)は中国経済発展モデルの転換期で、工業化と都市化が急速に展開する一方、環境対策の不備がさまざまな問題を醸し出しています。周生賢環境保護部長は<国家環境保護“第12次5ヵ年計画”>に関するインタビュー(人民日報2012.2.18)で、「経済構造調整の遅れ、資源環境の逼迫、発展におけるアンバランス・非協調・持続不可能といった問題の存在」を指摘、当面の主要課題として「生態環境保護の遅れ、汚染防止レベルの低さ、環境監督管理制度の不備」があり、それが「汚染物排出総量の大きさ、環境の質的改善に対する圧力、新旧環境問題の交錯、農村環境インフラ建設の遅れ、環境面での基本的公共サービス不足、核・放射能安全管理監督能力向上の緊急性、生物多様性保護などグローバルな環境保護問題での圧力」につながっている、と述べています。
<国家環境保護“第12次5ヵ年計画”>の7つの基準設定(主要汚染物排出総量規制関係4項、表流水品質基準関係2項、大気汚染関係1項)はこれに沿ったもので、特に基本的公共サービスの面で、「各県に必ず汚水・ゴミ無害化処理能力と環境監督評価能力を付与する」「都市と農村の飲用水の安全を確保する」としたことは大きな進展と言えるでしょう。
2012年2月末に全人代で可決され、7月から実施された改定<クリーン生産促進法>も注目に値します。同法は2002年に制定され、中国の本格的な環境行政のスタートにもなった法律ですが、その後の2度にわたる国務院の機構改革を経て、環境保護部設置後でも各省庁の権限が交錯するという弊害を生んでいました。今回の改定はこれを是正して職責を明確にするとともに、クリーン生産に対する予算措置も含めた取り組み、特に企業への監督・評価を強化することに重点が置かれています。これと歩調を合わせ、環境保護法も23年ぶりに改定が進められています。
第12次5ヵ年計画では国の環境保護基準も600あまりに増え、2012年8月時点で、15の生態省、38の生態県、1559の生態郷鎮建設も標榜されていますが、まずは、1.5兆元が必要とされる八大プロジェクト(汚染物質の排出削減、生活環境の改善、農村の環境保護、生態環境の保護、重点地域の環境リスク防止、核・放射能の安全保障、環境インフラの公共整備、環境監督管理能力の基礎的保障、関連人材の育成)の着実な実行が求められます。