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 第552回環境保護政策−循環経済の確立

(2013年01月15日)

家庭や各産業から大量に排出されるゴミや廃棄物。経済が急速に発展する中、資源確保が差し迫った課題になっている中国、また、環境汚染が待ったなしの中国では、いま、循環経済に対する取り組みが活発化しています。
循環経済への取り組みは、2005年に産業内や住宅地域で試験的に始まりましたが、2009年12月、国務院は<甘粛省循環経済総合プラン>を承認、省全体で2133億元、72項目の重点プロジェクトが始動しました。2010年3月には第2の地域プランとして、「減量化・再利用・資源化」を柱とした<青海省ツアイダム循環経済実験区総合プラン>も承認され、塩水湖化学工業を中心とした6大循環経済主導産業システムが構築されることになりました。
2009年はまさに循環経済元年で、中国初の循環経済10大ニュース(2009年)には、①<循環経済促進法>正式施行 ②省エネ環境保護産業、戦略的新興産業の1つに位置付け .③炭素強度(単位エネルギーあたりの 炭素排出量)引き下げ目標を発表、循環経済への関心を高める ④初の循環経済総合プラン承認 などが掲げられています。翌2010年、工業固体廃棄物総合利用量は15.2億トン(利用率69%)に、再生資源回収利用量も1.4億トンに達しました。こうした流れを受け、政府の関係4部門は同年4月<循環経済発展支持投融資政策措置意見に関する通知>を出し、資金面での強力な援助を表明しました。
再利用で特に注目されるのが家電類。テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン・コンピュータだけでも2011年時点で1500万台、2015年には年1.6億台以上と推定されています。政府は2011年から<廃棄家電電子機器処理目録><廃棄家電電子機器処理目録制定・調整に関する若干の規定>を施行するとともに、2015年までに分別がきちんとできた近代的な回収システムを構築し、廃品の回収率を高めるため、都市の90%以上の社区に回収スポットを設ける計画を打ち出しました。家電以外でも、自動車や様々な建設機械など再生利用の対象には事欠きません。家庭などから出るごみの再利用も大きなテーマです。ゴミに包囲された都市や村を救うには、埋め立てに頼らず、分別収集を厳格化し再利用することが不可欠。日本の取り組みなども詳しく紹介され、上海では2011年から50万戸の家庭で分別収集の試みが始まり、地方によっては実名管理も試みられています。市民への啓蒙が鍵と言えましょう。

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