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 第553回高速鉄道建設再浮上

(2013年01月21日)

2011年夏の高速鉄道事故で急ブレーキがかかった高速鉄道建設。事故調査自体は同年12月に終了、54人が処分されました。事故後、鉄道基本建設投資は抑制され、同年8月には400億元を切り、10月には204.8億元にまで減少しました。年が明けた2012年年初、政府は2012年の通年新規営業キロ達成予測が史上最長の6366キロ(高速鉄道3500キロ)になり、年末には<中長期鉄道網計画>(2004年)に盛り込まれていた“四縦”幹線がすべて開通する、と表明しました。
☆“四縦”幹線 ①京滬:北京−上海         ②京広:北京−武漢−深圳    ③京哈:北京−瀋陽−ハルビン    ④沿海:上海−福州−厦門
これを受け、2012年上半期の鉄道投資は逐月で増加はしたものの、巨額の負債や財政緊縮政策の影響で固定資産投資と基本建設投資は前年同期比それぞれ36.1%、38.6%減少していました。しかし、欧州経済危機による輸出の減少などから政府が下半期には公共投資の増加に転じたこともあって、7月ごろから輸送コストの安い鉄道インフラの建設の必要性が強調されるようになり、2012年9月5日付人民日報は<中国は高速鉄道時代に入った>と題する記事を掲載、「2008年8月に最初の高速鉄道(北京−天津)が開通して4年、2012年7月で中国の高速鉄道は6894キロ、世界一に」「高速鉄道は鉄道旅客輸送量の25.7%に」「2015年には“四縦四横”を完成させ、高速鉄道も1.8万キロになり、人口50万以上の都市をすべて網羅する」と報じました。
上記の目標を達成するのに欠かせないのが財源の手当て。そこで政府は2012年から鉄道建設への民間資金活用を積極的に始め、<民間資本の鉄道投資を奨励・誘導することに関する意見>を出して民間資本が幹線鉄道をはじめとする様々な鉄道建設に参加することを促し、そのために鉄道部自体の改革と行政手続きの簡素化、投資の具体的受け皿整備を打ち出しました。同時に入札制度の抜本的な改革も進め、鉄道部と18の鉄道局の鉄道建設工事交易センターを廃止し、各地方の公共資源交易市場での入札に移すようにし、広西チワン族自治区などですでに実施されています。2013年の鉄道固定資産投資は6500億元が予定されていますが、予算の堅実な執行、安全の確保、運転士の育成なども忘れてはなりません。

三瀦先生のコラム