トップ > 現代中国放大鏡
LastUpdate:
第556回湖北・湖南両省の発展−その2−
(2013年02月12日)
こういった動きの中で湖北・湖南両省はどんな発展計画を進めているのでしょうか。
まず湖北省ですが、“両圏一帯”(武漢都市圏、湖北西部生態文化観光圏、湖北長江経済ベルト)を軸に省全体の発展を図り、その前提として交通網の整備に力を入れています。既に2011年には県域総生産額が1兆元の大台を突破、県域産業比率も第一〜三次産業が19.6:49.4:31.0と工業主導になっていますが、更に2015年には県や市に高速道路と国道を、郷や鎮に2級以上の自動車道路を、行政村にアスファルト道路を100%通し、“村々通”を完成させて農民が自宅から車で都会に出かけられることを目指しています。
また、武漢を中心に宜昌と襄陽を両翼にした“一主両副”戦略を提起、中心都市武漢は先端産業の育成に意欲的に取り組み、同市東湖国家自主創新モデル区は光電子情報、バイオ、環境保護省エネ、ハイエンド設備製造、ハイテクサービス業などを中心に急速に発展し、2011年には特許申請量が7198件と前年比78.4%も増加しました。都市づくりにも力を注ぎ、今後5年間、毎年地下鉄を1本ずつ増やす計画です。西北部の工業中心地で自動車産業の一大集積地襄陽は、2011年に国から新エネ自動車普及モデル実験都市・新エネ自動車産業モデル基地に指定され、宜昌はリン化学工業を発展させてすでに7品目が生産量世界一、5品目がアジア一になっています。更に長江上流から宜昌−荊州−武漢−咸寧−鄂州と結ぶ湖北長江経済ベルトでは輸送網整備による先端産業地域の構築が進んでいます。
一方、西部地区では2010年に宜万鉄道が開通、上海−成都高速道路の同区間も完成し、恩施土家族苗族自治州では観光を中心とした発展が始まり、翌2011年には“大別山革命老区経済社会発展試験区”と“武陵山少数民族経済社会発展試験区”の建設も始まりました。
これに対し、湖南省は、実力が拮抗した長沙・湘潭・株洲が省全体のGDPの40%以上を占めており、この40km内にひしめく3市で30分経済圏を構築し、交通・金融・情報・エネルギーなど各方面で一体化を進めて発展の核とする動きが急速に進んでいます。また、郴州・衡陽・永州など南部地域は広東省と隣接し、同省の対外開放の橋頭保として全国で4番目の国家レベル産業移転受け入れ地区になっています。ただ、これによる製造業の発展で環境汚染が問題になっており、全国初の環境汚染責任強制保険試行省にもなっています。