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第561回中原経済圏の成立
(2013年03月21日)
2012年12月3日、国家発展改革委員会が<中原経済区プラン>を公表しました。中国中部地区の発展は、2012年7月の国務院常務会議で<中部地区振興戦略を極力実施促進することに関する若干の意見>が国家戦略として採択されていましたが、3.6億人を抱えるこの地域で特に重要視されるのが河南省を中心とした中原経済圏です。
沿海部の発展と西部大開発の間で埋没しかかり、東北にも発展で遅れをとりがちだった同地区は、中原都市群による発展を構想し、2010年に正式に国家戦略へと格上げされました。今回のプランでは、東は山東・江蘇・安徽・河南4省8市で、北は山西・河北・河南3省約10市で、西は山西・陝西・河南3省4市で、西南は陝西・湖北・河南3省の各都市で協力発展を議し、その結果、河南省全域と河北・山西・安徽・山東の一部、計5省30市2県がその範囲に組み込まれました。
この新経済圏は、面積28.9万平方キロ、2011年末現在で人口1.79億人に達しています。そして、“两不三新 ”(農業と食料を犠牲にしない、生態と環境を犠牲にしない/都市化、工業化、農業近代化)を基本路線に、5つの戦略的位置づけがなされました。即ち、
① 国の重要な食糧生産・現代農業基地 ②全国都市化・工業化・農業近代化協調発展モデル地区 ③重要な経済成長牽引地域 ④全国地域協力発展戦略の中心と現代総合交通網の中枢機能 ⑤中華文明の継承・発展地域
都市化・工業化・農業近代化の中で特に重視されているのが都市化で、大中小都市−小城鎮−新型農村社区の5段階都市体系の構築が強調されています。
今後の発展目標は以下の通り。
①2020年には一人当たりのGDPを6万元、2011年比で倍増に(都市住民一人当たり可処分所得38000元、同農村住民純収入16000元)②耕地保有量1423万ヘクタールを維持、食料総合生産能力1.08億トンに増強。③都市化率56%に。戦略的新興産業のGDP比を15%に。
同経済圏内では今後、各都市間を結ぶ“ 城际铁路” の建設と、鄭州-徐州、商丘-合肥-杭州、鄭州-万州、鄭州-済南、鄭州-太原、鄭州-合肥などの快速鉄道を整備、鄭州を中心に京広線・隴海線など4本の発展軸による米字型発展軸を目指しています。