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第564回2012年の人民日報日本関係記事−その1−
(2013年04月08日)
2013年の日中関係と言えば、何と言っても年後半に吹き荒れた尖閣問題ですが、それと対比する意味でも、まず年前半の動きを追ってみましょう。
2012年は皮肉にも国交正常化40周年を記念する「国民交流友好年」で、4月10日には東京で中国側の主宰する開幕式が挙行されました。日中友好交流に関する記事は7月までに約10本余りと少なめで、主な記事は、「団伊玖磨氏追悼記事」(1月)、「武漢警察が日本人観光客が盗まれた自転車を探し出した美談」(2月)、「上海-長崎航路の復活」(3月)、「アトムと孫悟空を引き合いにアニメ界の協力を紹介した于青氏の文」(4月)、「友好人士、書家柳田泰雲氏の紹介」(5月)、「陳錦華氏編纂の『中日関係大事輯覽』の出版」、「中国観光客への数次ビザの発給」(6月)、そして7月に入って、「中国人留学生が千葉の海岸で清掃奉仕をした話」、「『感知中国』日本行の開始」、「内山書店と魯迅書法」と続いたのちは年末まで皆無となりました。
政府間協力についても、日本からの最新建築エネルギーシステムの導入、日中協力住宅産業化モデルプロジェクト意向書の調印や、5月に行われた海上協力に関する両国の関係各省庁レベル協議などが紹介されましたが、環境汚染健康損害賠償制度検討会に関する記事(7月4日)を最後に、これも姿を消しました。
毎年見られる日本文化や日本事情に関する紹介記事の中では、友好年に合わせ、3月21日付23面全面を使い、日本がいかにして流行文化を作り上げているかを詳述、また、勉強の重圧に喘ぐ中国の子供に比べ、日本の教育がいかにして体験から興味を引き出しているか、も大きく取り上げられました(7月25日)。このほか、王志松氏の『日本文学史序説』の読後感(4月)や、「『木を愛する』から『樹木銀行へ』」と題した日本の植樹への取り組みを紹介した記事(夏愛華、3月)も読みごたえがありました。8月以降はありません。
日本国内の記事では、福島原発事故関連が7月までに10本ほどありました。ゴミ処理や住宅建設の遅れ、原発に対する国民の反対を紹介する記事が大半を占めました。
4、5月を中心に日中韓の協力、FTAに関する記事が多くありましたが、8月で途絶え、やっと11月21日になって交渉への取り組みがやや大き目に紹介されました。