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第五十七回 私企業の動向-その1
今回の16全大会で、私企業の経営者も共産党員になることが認められました。昨年末に開催された湖南省経済工作会議に8名の非国有企業の社長たちが特別代表として招かれて話題を呼びましたが、もう特別扱いする必要はなくなるわけです。
中国は今、改革に伴う失業者の再就職問題が待ったなしの状況になっています。都市の失業率は、既に7%の警戒ラインに達しており、政府は"社区"(地域社会)の要員 枠を増やすなどの努力をしているものの、やはり頼みの綱は、民営企業、それも小企業の雇用。
「非公有制経済は社会主義市場経済の重要な組成部分である」と憲法に記載されているように、所有制の壁を打ち破り、民営企業に国有企業と同等の待遇、企業活動環境 を与えることが、もう避けて通れない道筋となったのです。
実際、2001年の時点で、全国の個人企業は2423万社、私営企業は203万社 近くに達し、就業人員は7474万人で、この10年間の間に個人企業のGDPに対 する貢献率は1%未満から20%以上に、非公有制全体では43%にまで増加しました。
また、中国の工業人口2億人あまりのうち、中型以上の企業に就業している者はその 4分の一にも満たず、1億5千万以上は、私企業を主とする小企業や、個人企業の従 業員です。今年上半期の労働力需要では、私営,個人企業が全体の29.73%を占め、外 資系企業の9.45%、国有企業の6.82%を大きく引き離しましたし、また、第3次産業 の需要が全体の70%を超えました。
今年の9期全人代第28回会議で<中華人民共和国中小企業促進法>が採択され、2003年1月1日から施行されることになりました。ここで言う中小企業とは、あらゆる所有形態を包含するものであり、「彼らの財産、合法的利益は政府が保護し、いか なる行政機関や組織もこれを差別したり、蔑視してはならない」と明記され、更に、 ①失業者が起業したか、または失業者の雇用に積極的な中小企業 ②ハイテク中小企 業 ③少数民族地区や貧困地区で起業した中小企業 ④身体障害者を進んで受け入れる中小企業 に対しては、税の免除や減免措置を実施することも盛り込まれました。
まさに、中小民営企業が改革開放の今後の鍵を握る、と言っても過言ではないでしょう。