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第570回政府の新布陣について
(2013年05月20日)
2013年春の“両会”(12期全人代と12期政治協商会議)では、まず、3月11日に兪正声が政治協商会議主席に、14日、習近平が国家主席と中央軍事委員会主席に、張徳江が全人代常務委員会委員長に、李源潮が国家副主席に選任され、翌15日は、李克強が国務院総理に、許其亮・范長龍が中央軍事委員会副主席に、周強が最高人民法院院長に、曹建明が最高人民検察院検察庁に任命され、更に16日に国務院筆頭副首相に張高麗、副首相に劉延東・汪洋 ・馬凱、国務委員に楊晶・常万全・楊潔篪・郭声琨・王勇 が任命されました。
今回の国務院の顔触れを見ると、党内人事は派閥優先でも、政府人事は実務能力の高い、改革派・市場主義派で固められています。首相になった李克強は、そもそも師匠の以寧正が株式制への改革を早くから主張した学者であり、自身も改革には積極的に取り組む姿勢を示しています。張高麗は石油閥の利益代表である一方、改革最前線の広東で30年間行政に関与しており、汪洋も重慶市書記・広東省書記として先進的な政策を展開してきました。財政・経済面では継続性も重視され、国有商業銀行の株式化、為替制度改革、金利の自由化に取り組む周小川が、閣僚定年65歳に拘わらず中国人民銀行総裁に留任するとともに、90年代から分税改革や為替管理体制改革に腕を振るった楼継偉が財政部長に、国際貿易交渉代表を8年も務めた対外経済貿易関係のベテラン高虎城が商務部長に、外交面では、日本・北朝鮮・台湾関係の専門家である王毅が外交部長に就きました。国務委員は楊晶が官房長官役を務め、常万全は国防部長、楊潔篪は外交、郭声琨は公安部長、王 勇は農村・少数民族問題などを担当します。
今回の国務院人事は、主要メンバー33名の平均年齢が60.21歳で元「知識青年」が12名を占め、また、博士13名(39.4%)、修士14名、大卒5名、大専1名と学歴も高く、李克強は中国初の博士首相でもあります。また、社会科学系が16人に達したのも大きな特徴で、従来の革命家・技術者から人文型(経済)への転換が顕著になり、管理型人材が重視される傾向を示しています。
大臣級の25人に関して言うと、9人が留任し新任率は36%、ただ、このうち半分以上が5年後には閣僚定年65歳をオーバーすることになり、大幅な改造は必至です。