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 第573回観光業、新たな視点−その2−

(2013年06月10日)

2012年の中秋節・国慶節。主要観光スポット119か所の国内観光客は3423,56万人、前年同期比20.96%増で史上最高を記録しました。まさに中国の観光業は空前の大衆化時代を迎えており、2015年の国内観光客数は延べ33億人に達すると推測されています。
こういった動向に照準を合わせ、今、中国各地ではいかにして地元の優位性を発掘して観光客を誘致するかに様々な取り組みが行われています。先行例で有名なのが雲南省西北部の香格里拉県。イギリスの作家ヒルトンの『失われた地平線』に登場する秘境に因んで命名し、「この世の天国」として10数年PR、2011年には延べ832万人の観光客を惹きつけました。
これに続けと、東北ではハルビンの氷祭り、長春の国際スキー祭りが開催され、南方の海南省は、中国のハワイをめざし、免税特区を看板に南国海浜観光を売り込んでいます。
こういった気候風土を利用した地域起こしには、このほか、内蒙古の草原観光、寧夏や新疆の砂漠観光があり、また、重慶市や黒竜江省などでは温泉観光も盛んになっていますが、一方で、観光業と文化産業を結合させよう、という論調も高まっています。中国では、観光に関わる文化資源は考古学的資源から共産革命に関わる“紅色旅游”まで枚挙に暇がありませんし、豊かな少数民族資源もあります。国際的な取り組みでも、西北で12か国によるシルクロード国際観光協力連盟が発足したかと思えば、南方の福建省では何年も前から、台湾や南方華僑をターゲットに“馬祖文化旅游節”が開催されています。ただ、問題は、観光業と文化産業がうまくかみ合っていない地方が多く、複合的産業チェーンやブランドが未形成で、経済的な利益や雇用をみすみす逃すばかりか、“中国一”の氾濫に見られるような文化の取り合い、文化資源の破壊による様々なトラブルも多発しています。
観光業の発展にサービスの向上は不可欠です。もぐりの観光業者・客引き・露天商・土産物店によるぼったくり、杜撰なうえに次々と費用を上乗せする悪質なツアー、食事の衛生、高額な入場料、観光地の施設の不備なども常に問題になっています。こうした問題に対処すべく、国務院は2013年2月に<国民観光レジャー綱要(2013-2020年)>を各地方・政府機関に印刷配布しました。今後、これによって、産業化・ブランド化・デジタル化・サービスの向上などが精力的に進められていくことでしょう。

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