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第578回贅沢の戒め、諸現象−その2
(2013年07月16日)
習政権発足後間もない2012年12月4日、中央政治局は官僚主義や浪費など勤務上の弊風改善を呼びかける8項目の規定と6項目の禁令を採択しました。その内容は、
[8項目の規定]①調査研究は末端に深く入り、大衆と触れ合い、随行も送迎も簡素化し、宴会は無用。②会議は簡素化し、中央が許可しない各種の会議やセレモニーは自粛、会議の時間は短く、発言も陳腐冗長は慎むこと。③文書は簡素化し、内容のない文書は出さない。④外国訪問は規律を守り、随員を減らし、飛行場での華僑華人や留学生の送迎は不要。⑤警備体制を改善、交通規制や入場制限などはしない。⑥メディアの報道は必要がありと判断されるものに限り、減量化に努める。⑦勝手に自著を出したり、祝賀の手紙や祝電、揮毫などはしない。⑧勤倹節約に努め、住居・車両や生活上の待遇は規定を厳守すること。
[6項目の禁令]①公費による相互の訪問・接待・贈答の禁止。②上級部門に対する様々な付け届けの禁止。③様々な贈り物の接受の禁止。④公費による様々な浪費、贅沢消費、お手盛り、公私混同の禁止。⑤過度の接待の禁止。⑥賭博の禁止。
各部門もこれに合わせ様々な規定を出しました。中央軍事委員会は禁酒令を含む詳細な10項目の規定を、国土資源部や教育部は調査研究について、民生部と文化部は会議の簡素化について具体的な方針を打ち出しました。また、これに続き、年明けまでには、20以上の一級行政区が公用車対策や会議・出張の簡素化などを盛り込んだ実施細則を発表しました。
2013年1月22日、第18期中央紀律検査委員会第2回会議で、習近平は腐敗(トラ=大きな腐敗、ハエ=小さな腐敗)撲滅と勤倹節約を強調、例年なら春節を控え大いに賑わう高級料理店は閑古鳥が鳴き、高級白酒は売れ行きが急減する事態となりました。王岐山指揮する紀律検査委員会は、退職後の行動や親族の海外移住にも調査を開始、5月には各地に巡察10チームを派遣、同月までに八項目に違反したとして延べ2290人が処分を受けました。
習政権のこういった取り組みの背景については、権威確立のため、と言った側面を指摘する向きもありますが、党・政府に対する庶民の厳しい目を意識したものと言えるでしょう。
浪費と言う側面だけを見ても、2月末に人民網が発表した調査結果では、家庭の食事の無駄が1.9%なのに対し、公務のそれは90%前後にも達していたのですから。